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2018.04.25

WING

川崎重工航空宇宙事業、民需機で生産力磨き防需に還流

下川バイスプレジデント、スマートファクトリーの実現目指す

 川崎重工の航空宇宙システムカンパニーで航空宇宙事業担当バイスプレジデントを務める下川広佳執行役員は先頃のWINGのインタビューで、「川崎重工全社で展開している製造管理技術のエッセンスというべきKPS(カワサキ・プロダクション・システム)を更に進化させて、スマート・ファクトリーを実現して行きたい」と述べ、民間航空機関連で高まっている生産力を、防衛需要航空機に還流することなど、今後の展開を述べた。
 (※このインタビューは本年2月に実施したため、当時の下川氏は生産本部長も兼務しており、その範囲の発言もあることをお断りします。編集部)
 2017年4月より航空宇宙カンパニーのバイスプレジデント兼生産本部長を務めてきた下川広佳執行役員は、生産技術の経験が深く、ボーイング駐在、エンブラエルとの共同事業でのブラジル駐在、製造子会社ケージーエム社長など主に民需プロジェクトで様々な経験をしてきた。防需で培った技術力を民需事業獲得に活かし、民需の厳しい競争と生産数量に耐える生産力を磨き、それを防需に還流するというカンパニーの大方針の意味を、生産部門の立場で詳しく説明してもらった。

 

 P-1は年産5機体制、C-2も年2〜3機
 定期修理開始に備え、修理工場建替え

 

 【防衛需要関係】
 防衛航空機ではP-1哨戒機、C-2輸送機の量産が本格化している。
 まず、P-1については、まとめ買い20機の最初の機体、通算16号機が今年の5月に納入の予定という。以後5機ずつ4ヵ年度にわたって納入が続く。下川VPは「組立関係は順調に推移している」と量産体制の整備が進んだことを述べた。
 一方、C-2については今年度末の3月に量産5号機(通算7号機)を納入した。2018年度からは年産2〜3機の量産機納入が続く。「組立職場の準備は整っている。とにかく機体が大きいのと、量産からは中胴部も川崎重工が製造するので相当の作業量になる」という。この2機種の並行した量産体制を確立できたことについて、下川VPは「C-2の開発を完遂し、現場と生産技術陣には大きな自信がついたことが非常に大きかった。何でもやれるぞという感じだ」と生産現場の雰囲気を語った。
 また、P-1、C-2の定期修理開始に備えて、岐阜工場南工場の大型機修理ハンガーの建て替えを行うことにしている。これは数年前雪で破損した日本飛行機航空機整備事業部(厚木)の整備ハンガーの修復が完了し、これまで岐阜工場で行ってきたP-3Cとその派生機の定期修理と機齢延伸を日本飛行機に戻して、P-3C修理ハンガーを建て替える計画で、間もなく着工となる。

 

写真=下川広佳バイスプレジデント

 

写真=年産4機が始まるP-1哨戒機(提供:海上自衛隊)

 

写真=来年度から全機組立が始まるBK117D-2