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2026.01.07

WING

メガワット級電動ハイブリッド推進で日本に商機

 JAXAが取り組むMEGAWATTプロジェクト

 次世代旅客機は今まで以上に環境適合性を高めた機体でなくてはならない。2050年炭素排出量ゼロを掲げる航空機業界では、SAF(持続可能な航空燃料)などといった代替燃料の普及・利活用促進を図りながら、2030年代半ばに登場すると目されている次世代旅客機に対する期待も大きい。日本も欧米機体OEMが主導する次期国際共同開発プロジェクトにおいて、確かなワークシェアを獲得するべく、この潮流に乗り遅れることがないよう様々な研究開発を進めている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2025年度から航空機用MW級電動ハイブリッド推進システムの技術実証(MEGAWATT)プロジェクトをスタートし、その研究を深化させているところだ。
 このプロジェクトを担うJAXA航空技術部門の西沢啓氏は「2030年代半ば頃に誕生すると予想されている次期単通路機に適用可能なMEA(More Electric Aircraft)向けの大電力供給技術を確立することを目指す」との考えを明かし、欧米機体OEMが開発を今後本格化させていくであろう次期単通路機を視野に、技術を実証・確立させていきたいとした。
 西沢氏は「航空機の電動化技術は新しい領域。業界地図が未だ確定しておらず、日本国内企業にとって新規参入の大きなチャンスがある」とコメント。JAXAとしては「MEGAWATT」プロジェクトを通じて産業界と協力してシステム統合と大規模技術実証を進めつつ、官側との連携も図り国際標準化活動にも貢献し、国内企業の事業化を促進していきたい考え。
 日本の航空機産業は、大手重工がそうであるように、ボーイング民間旅客機の機体構造組立が中心となっている。その分野で確かなワークシェアを獲得することに成功したが、搭載装備品分野は正直に言って弱い。海外の強力なスーパーTier1などの高い壁に阻まれていることが実状だ。
 そうしたなか経済産業省主導の下、搭載装備品分野の取り組みを強化。高付加価値の搭載装備品産業の育成・強化を推進している。JAXAは欧米機体OEMが次期単通路機を市場に投入することをにらみ、MEA技術、電動化技術、とくに電動ハイブリッド推進システムを導入するという技術ロードマップを描いた。
 JAXAは「MEGAWATT」プロジェクトを通じて、「2020年代後半に電動ハイブリッド推進システムの大規模な技術実証を実施し、社会実装につなげていくビジョンを描いている」(西沢氏)。研究開発では「JAXAと民間企業の技術を統合したシステム実証を行う。同時に国際標準化活動にも関与することを目指す」とし、日本国内の産官学の力を結集し、ジェット旅客機の電力時代の先駆けとなることを目指す構えだ。

※画像=単通路機クラスでも将来的にハイブリッド電動推進化する研究が国内外で進んでいる(提供:JAXA)

※この記事の概要
・尾部に電動ファン 
 故障箇所は切り離す設計思想
・発電機は永久磁石同期式に
 社会実装時に1MW級の発電量  など