ウイングトラベル
★鉄道各社が相次いで新たな観光列車を投入
新たな旅行者層誘致促進、沿線観光活性化へ
訪日外国人旅行者数の急増や付加価値の高い観光素材の磨き上げなどが日本国内各地で進む中、鉄道各社が新たな観光列車を相次いでデビューさせる。西武鉄道は2028年3月に新型のレストラン列車を新造し、運行を始めることを決めた。また、南海電気鉄道（南海電鉄）も2025年度末にデビューする高野山方面に向かう新たな観光列車の名称を決定。今後プロモーション活動を本格化させる。鉄道各社は沿線各地への観光客誘致を図るために宿泊施設の開発や沿線における新たな観光体験の開拓に力を注いでいるところだ。これに加えて、移動手段である鉄道車両にも付加価値を高めることで、沿線消費の活性化に結び付く旅行者層の呼び込みにつなげていきたい考えだ。
※写真＝西武鉄道は「Laview」をベースとした新型レストラン車両を投入する
西武鉄道、2028年に新型レストラン列車投入 サービス内容や食の魅力をさらに引き立てる存在に
西武鉄道は、新型のレストラン列車を新造し2028年3月から運行を始めると発表した。2016年から運行している「52席の至福」で培ったサービスをさらに磨き上げるとともに、新たなパートナーとして、飲食店に加えて地方創生関連事業も手掛けるバルニバービを迎え、料理の力で新たな観光需要の創出と沿線の魅力を国内外に発信していく考えだ。
同社は東京都内を発着する鉄道会社として初めてレストラン列車を投入した。これまでに8万人以上が利用し、鉄道による新たな旅の魅力を提案してきた。
新型のレストラン列車は同社が秩父などへ向かう特急列車として使用する「Laview（ラビュー）」をベースに開発する。車両は4両編成で構成され、乗客定員は約70人とする予定だ。車内は景色や料理が引き立つようグレーを基調としたトーンとする。また、先頭車両は同社として初となる個室車両とする。個室は8人程度での食事を可能とし、前方展望も楽しめる贅沢なプライベート空間を提供する。 3号車は車内で調理したフルコース料理を全席で提供するため、1両すべてを厨房車両とし、こだわり抜いた設備のもとで調理を行う。
新型車両で料理・サービスを担当するバルニバービは東京・大阪を中心に全国102店舗でレストラン・カフェ・ホテルを展開している。特に兵庫県淡路島では食を基盤に創り出す新たな地方創生プロジェクトを推進し、新たな賑わいを創出している。
今回は、バルニバービグループの大筆秀樹総料理長が監修する。料理は、沿線の豊かな自然や食材、そして人々の物語を「食」という体験に変えて、心まで満たされる美味しいフルコース料理を提供していくとしている。
南海電鉄、新観光列車「GRAN 天空」デビュー 2025年度末運行開始、沿線地域とのつながり意識
南海電鉄は、難波駅から高野山の玄関口である極楽橋駅間を結ぶ新たな観光列車を2025年度末にデビューさせる。車両名称は社内公募と一般投票の結果「GRAN 天空（グラン・テンクウ）」に決定した。新たな観光列車では、良質でホスピタリティあふれるサービスと四季折々に移ろう風景を通して、日常を離れた上質な空間で、列車の旅そのものが特別な体験となるよう計画している。
同社は、2009年から橋本駅から極楽橋駅間で観光列車「天空」を運行。今年8月までに高野山観光に向かう旅客約43万人が同列車を利用した。天空は2026年3月に定期運行を終了することとなっており、新型車両はこの後継としてデビューする。 GRAN 天空は、運行区間を難波駅まで延長する。始発駅となる難波駅には同列車専用の乗り場「0番のりば（仮称）」としてリニューアルし、始発点としてふさわしい上質で心に残る空間の創出を目指す。
外観デザインは深紅をベースにゴールドを基調とした装飾を施す。各車両の側面デザインは優美に羽根を広げるものとし、旅の可能性を広げてほしいという願いを表現する。また、高野山に咲くシャクナゲなど、沿線にゆかりのある植物をモチーフにした装飾を随所に施し、沿線地域とのつながり、沿線の魅力や文化への気付きを列車旅で楽しんでもらえるようデザインしているという。
同社は11月6日からGRAN 天空の特設サイトを開設。今年度末のデビューに向けて盛り上げを図っていく方針だ。
地域観光の盛り上げを図っていく上で観光列車の存在は今後も需要喚起の起爆剤として注目が集まる。今後もJR各社も含めてさまざまな切り口で投入してくることが見込まれており、今後も観光活性化のポイントの1つとしてチェックしておく必要がありそうだ。
※写真＝南海電鉄は今年度末に「GRAN 天空」を投入、高野山観光の活性化につなげる
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