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2018.09.03

グアム旅行、着実に回復

 グアム政府観光局(GVB)では、2018年を「回復の年」と位置づけ、グアムを訪問する日本人旅行者数を45万人から50万人と見込んでいる。実際、今年1-7月のグアムへの日本人旅行者数は前年同期比21%減の30万592人で、このまま推移すると49万人前後と予想される。
 ただ、今後のグアム観光は明るい材料も多く、好転の兆しを見せており、50万人を超える可能性も出ている。
 とくに、供給面では3月から日本航空(JAL)が成田−グアム線をWデイリー運航に期間増便し、10月下旬からの冬期スケジュールでも継続することが発表されている。
 ユナイテッド航空(UAL)は冬期スケジュールから、1日3便の成田−グアム線のうち2便にB777-200ERを投入し、供給席数を拡大する。また、中部−グアム線を現行のデイリーから週11便に増便する。さらに、関西−グアム線も期間増便する。
 大手航空会社に加えて、7月21日から韓国LCCのチェジュ航空が関空−グアムに新規就航し、新たな需要拡大が見込まれることが期待される。
 そして、需要回復を特徴づけることとして、日本からグアムへのチャーター便の拡大がある。昨年の日本からグアムへのチャーター便は年間196本だったが、今年は7-9月の3カ月間だけで191本に達しており、金子宗司GVB日本代表代理によると、年間470本を超えると予想されている。
 昨年の北朝鮮ミサイル問題で、グアムへの観光需要は大きな影響を受けたが、グアム準州政府、グアム政府観光局の安心・安全への冷静な対応により、需要、供給ともに回復の方向に向かいつつある。
 グアムへの旅行需要は、東京を中心とする関東からの旅行者が牽引している。7月までの需要を見ると、関東地区からグアムへの旅行者数は前年比20%減まで回復しており、全体の半数を超えている。また、関西地区も同じく20%減で推移し、とくに7月単月はチェジュ航空の就航もあって10%台の減少まで回復しており、8月以降に期待が持てる状況だ。
 グアム政観では、日本市場の最大のターゲットを女性層に置いている。「インスタグアム」キャンペーンを継続して、若い女性を中心にグアム旅行の定着化を図る。また、若者の海外旅行をターゲットに、来年1-3月の供給増に合わせて、学生卒業旅行キャンペーンを計画する。さらには、シニア向けにゴルフキャンペーンも展開するという。
 さらには、ウェディングとファミリー向けのパッケージツアー商品を対象に、旅行業界と協力してパスポート取得サポートキャンペーンを実施する。
 グアムへの供給拡大は冬期スケジュールまでは決定しているが、来年3月下旬以降の夏期スケジュールについては、冬期の需要の結果次第となる。したがって、供給増に見合う需要増を実現することが、2019年度の完全回復への必須条件となるだけに、下期の需要回復に全力を挙げる。
 グアムは昨年の北朝鮮のミサイル問題で、とくに団体旅行が大きな影響を受けた。だが、MICEについては、ミーティングとインセンティブを中心に旅行業界向けに団体サポートキャンペーンを継続する。
 旅行業界に対しては、ウェディング・ファミリー向けのパスポート取得、団体、チャーターをサポートする。
 その先には、教育旅行需要の回復を視野に入れる。グアムは日本から3時間半の飛行時間、日本から最も近い英語圏という優位性が活かし、教育旅行には最適の地。とくに、安全・安心は定評があり、1日も早くグアムへの教育旅行の復活を期待したい。(石原)