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2020.09.21

「マクロツーリズム」へ踏み出そう

 新型コロナウイルスの世界的な流行に伴う世界各国の出入国制限により、今もアウトバウンド、インバウンドの扉は閉ざされている。国内旅行はGo Toトラベル事業が7月22日からスタートし、除外された東京都を除いて国内旅行が可能となり、開始から8月末までで1339万人泊に達した。
 政府方針では、10月1日からGo Toトラベル事業の対象に東京都が加わり、なおかつ同日からGo To地域クーポンも始まり、10月からは全国民を対象とした国内旅行振興キャンペーンがスタートする。ここからが国内旅行「旅の始まり」といえる。
 外出自粛、旅行自粛で県外に出かけることが難しかった時に、「マイクロツーリズム」という言葉が使われた。コロナ禍の環境下で、地元を再発見する意味でも「マイクロツーリズム」は効果があったように思う。しかし、それは全国展開する宿泊施設にとっては、地元市場をターゲットにセールス展開できるが、全国の中小宿泊施設にとっては、「マイクロツーリズム」でコロナ禍を凌ぐことはできないだろう。
 旅の根本は「遠くへ行きたい」にある。見知らぬ土地で、見知らぬ人に会い、未知の体験をする。それこそが旅の醍醐味。隣の町へ出かけ、隣県に出て、さらに遠くの国内を見て回り、そして海外を旅する。
 人は成長とともに、小さな「マイクロツーリズム」から大きな「マクロツーリズム」の世界へ飛び出していく。経済用語のミクロとマクロにかけて、「マイクロツーリズム」の対語に「マクロツーリズム」という言葉を使った。
 Go Toトラベル事業のスタートによって、東京を除いて、地域のマイクロツーリズムから飛び出し、10月からは日本国内最大のデスティネーションである東京都への旅行、国内最大人口を誇る東京都民の全国への旅行が始まる。
 新型コロナウイルスの感染防止対策の徹底化が前提になるが、Go Toトラベルの全国展開により、国内旅行は振興する。だが、少子高齢化が進む中で、国内旅行の振興だけでは地域活性化はできない。国際往来の再開による海外旅行、訪日旅行の復活なくして、日本の地域創生の実現は難しい。
 全国の観光関連従事者にとっては、地元旅行者、国内旅行者、訪日旅行とマクロ的な広がりがあっての観光振興であり、成長著しい訪日インバウンドの拡大が地方創生の起爆剤となる。
 政府はGo Toトラベル事業と並行して、海外旅行、訪日旅行の復活に向けて、国際往来の再開を進めている。9月18日からは日本とシンガポールの間で、短期出張者用の「ビジネストラック」が初めて開始された。
 ビジネストラックは、一定条件下で相手国、日本の入国後14日間の待機中も行動範囲を限定してビジネス活動が可能になり、両国の短期出張者の渡航に道が開かれた。
 既に7月からは長期滞在者用の「レジデンストラック」がタイ、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾との間でスタートしており、国際往来の扉は徐々に開かれている。
 国際往来では、感染状況を見ながら、レジデンストラック、ビジネストラックがアジアから欧米、世界へと広がっていく。それを突破口にレジャーや教育旅行、MICE・団体旅行へと海外旅行拡大に期待は広がっていく。
 菅新政権の最大の売り、強みは「縦割り行政の排除」と見ている。観光庁はあるが、海外旅行・訪日旅行の復活に向けては、所管の国土交通省航空局をはじめ外務省、法務省、厚生労働省、文部科学省、財務省など幾多の官庁と折衝しなくてはならない。
 官房長官時代に省庁の縦割り行政を排除し、「訪日インバウンド拡大の成功」を高らかに謳った菅新首相。訪日6000万人時代の「マクロツーリズム」に向けて「豪腕」を期待したい。(石原)