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2020.05.18

旅行再開へ安全のガイドライン

 新型コロナウイルスは欧米がピークダウンを迎えて、一斉に経済社会活動の再開に向けて、制限解除に動き出した。高止まりしている英国、減速しているとはいえ感染者数が多い米国なども経済の疲弊が深刻で、もはや一刻の猶予もならないというのが本音かもしれない。
 だが、それは世界共通だろう。日本も同様で、緊急事態宣言は5月末まで延長されたが、特定警戒13都道府県以外の34県は温度差はあるものの、制限解除の方針を打ち出した。その中では、広島県が旅行再開を組み入れた制限解除へのロードマップを公表した。
 制限解除への数値条件は必須だが、同時に制限解除への行動計画を具体的に示さないと五月雨式になってしまう。とくに、いつになったら外出自粛の緩和、遠出、県内旅行、国内旅行、さらには海外旅行に行けるのか。この当たりの道筋を政府には早急に出してもらいたい。
 これは、各国を見ても政府が大枠を示し、それに則って州、県などの自治体が実施する形式が多い。ドイツのメルケル首相、米国のトランプ大統領も段階的な解除のロードマップを示した。
 日本政府は、こうしたことがどうにも心許ない。緊急事態宣言の延長を発表した時に、制限解除の数値条件と制限解除のロードマップを示してほしかった。これらを同時並行で示すことで、不安はあるが、先が見えてくる。
 特別警戒13都道府県の中では、大阪府の吉村知事が「大阪モデル」を作成して、制限解除への具体的な数値条件を示した。政府が「出口戦略」を示さないので、大阪府が独自で出した形になったが、独自行動は評価される。
 政府は5月14日に、特定警戒13都道府県の一部と34県に緊急事態宣言の解除を検討する。本紙が出ている頃には決定しているが、東京、大阪、北海道、神奈川などを除き、患者発生数の少ない県は特定警戒県であっても解除になるだろう。
 各国の事例を見ると、制限解除は小売店、飲食店などの営業再開から始まるが、社会的距離を確保するためには人数制限が条件になる。また、過去にクラスタとなったライブハウス、夜の接待などは最初の段階では解除とはならないだろう。
 韓国のように封じ込めに成功しても、ライブハウスがクラスタ化したことで患者数が再び増加した。これをどう抑えるかが今後の課題になる。だだ、制限を解除すれば、患者は増加する可能性は高い。感染防止対策と経済社会活動の再開を並行して続けていくしかない。
 段階的な経済社会活動の最終段階は、海外旅行の再開である。「世界鎖国」のような状況から「国際交流」に戻ることが目標だ。
 既に、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は現地時間の5月12日、トラベル・ツーリズム産業の再開に向けた新たな国際基準『Safe Travels』の一部を公表した。
 米国では、USトラベル・トラベル・アソシエーションが、全ての旅行者の健康と安全推進のための観光産業ガイドライン『TRAVEL in the New Normal』を公表した。
 旅行の再開は、まずは県内旅行、それから県をまたぐ旅行、飛行機を使う国内旅行、そして海外旅行へと広がる。
 WTTCは、世界各国の入国制限や行動制限が解除された後に、旅行者が安全かつ安心して旅行できるよう、消費者の観光に対する信頼を再構築することの重要性を強調している。
 海外旅行が回復するのは1年先と見方もある。それは、海外旅行することが不安だからだ。旅行の信頼を取り戻すには徹底的な「安心・安全」しかない。国際旅行はインとアウトがともに安全でないと成立しない。旅行者、旅行会社、ツアーオペレーター、航空・鉄道・バス・クルーズ・ホテル、小売・飲食・観光施設のツーリズム産業に関わる全てが安全・衛生・健康を証明すること。そのためのガイドライン作成を期待したい。(石原)