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2025.07.30

WING

吉田統幕長、最後の仕事は内倉空将への引継ぎ

 流動する社会に築いた信頼関係がアンカーに

 吉田圭秀統合幕僚長は7月29日、統幕長として最後の会見に臨み、最後の仕事が現航空幕僚長の内倉浩昭空将への引継ぎになると説明。「信頼する内倉空将へタスキをつなげたことに安堵している」とし、39年4ヵ月間の自衛官人生には「幸せを感じている」と感謝の意を述べた。新たな統幕長の内倉空将については、誠実そのものであり、国際感覚にも富んだ人物だと評価。これまで各国参謀総長などとのオンライン会談にはともに出席し、各国との人間関係をスムーズに構築できるよう、引継ぎを行ってきたとした。
 統幕長在任期間には、特に多国間との連携に力を入れ、各国参謀総長級と積極的にコミュニケーションを取ってきた。それによって同盟国・同志国との関係が、2つの点でこれまでよりも大きく進展したという。1つ目は、インド太平洋地域の協力枠組みとして「ミニラテラルな協力が進化した」ことで、2つ目が「NATO、ヨーロッパ諸国との協力が著しく強化された」ことだ。積極的なコミュニケーションによって各国参謀総長級との信頼関係を築き「個人にとっても生涯の宝物であり、この信頼関係こそが“ミリタリー・トゥ・ミリタリー”の関係の源泉になる」ため、流動化する国際政治の中でアンカーの役割を果たすという。この理由は、ミリタリーが力の体系を代表する組織であり、リアリズムに基づく協議によって共通の認識に立てるため。内倉空将がこの関係をさらに発展させていくことになると、期待感を示した。