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羽田空港で国産SAF供給がスタート

家庭などから生じる廃食油で飛行機飛ぶ資源循環
羽田空港において7月7日、国産SAF(持続可能な航空燃料)の供給がスタートした。このSAFの原料となったのは、家庭、飲食店や宿泊施設などで天ぷらや揚げ物などで使った使用済みの食用油(廃食用油)だ。コスモ石油堺製油所でSAFとして再資源化され、羽田空港の共同貯油施設に入れられた。市民誰でも参加できる資源循環社会の構築―――。羽田空港を飛び立つ航空機でも、いよいよそんな時代が到来した。
7月7日11時50分には、ANAのNH853便(羽田→台北・松山)の787-8型機(JA834)に燃料の供給を開始。その後、同便は13時20分頃に羽田空港を出発した。
また、羽田空港でこの取り組みを進めた日揮ホールディングス、全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)、そして東京都らは同日、羽田空港第3ターミナルにある「江戸舞台」で記念式典を開催した。
SAFは世界の航空会社が喉から手が出るほど欲しい燃料だ。欧州を中心に環境規制が厳しさを増し、EU域内では2025年からSAFの供給義務化がスタート。日本政府も2030年に国内で使用するジェット燃料の10%をSAFに置き換えるという目標掲げている。
ただ、SAFの生産量がごく限られたもので、国際航空運送協会(IATA)によれば、今年のSAF生産量は200万キロリットルに留まる見通しで、ジェット燃料の総消費量のわずか0.7%程度しか満たすことができないとされる。2030年には2300万キロリットル、2040年に2億2900万キロリットル、そして2050年に4億4900万キロリットルものSAFが必要になるとされ、その需要を満たすだけの生産量を如何に確保することができるか、世界各地で問われているところだ。
※この記事の概要
・日揮HD佐藤会長、脱炭素化の鍵は社会の合意形成
行動変容・機運醸成の流れ加速
・小池知事、資源を無駄にしないは江戸文化
9月の世界陸上向け廃食用油回収促進
・ANA井上社長、「2050実質ゼロは人類の願い」
JAL赤坂会長、「日本人の意識の高さ、誇りに」 など