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2025.06.05

WING

フクロウの翼の高い静穏性をプロペラに

 最大3dB低減、ドローンや空飛ぶクルマに応用期待

 暗闇の空から獲物に音無く忍び寄るフクロウ。フクロウの翼の構造をみてみると、翼の羽根の前縁部分に鋸歯状の突起があり、この突起が渦状の空気の流れを分断することによって、音のもとになる不安定な気流を抑制し、極めて静かに獲物を狩ることができる。その静穏性に航空業界はかねてより着目してきたが、ドローンへの適用を目指した研究が進んでいる。
 この研究を進めているのは千葉大学大学院工学研究院の劉浩教授とJiaxin Rong特任研究員(研究当時)と三井化学の研究グループだ。ドローンの社会実装が着々と進み、今度は空飛ぶクルマの社会実装が進もうとするなか、都市部で運航しようとすれば、どうしても騒音問題が懸念されるところ。ヘリコプターに比べて騒音はかなり抑えられるドローンや空飛ぶクルマだが、それでも離着陸時や低高度で飛行した際、ローターが発する風切り音が、気になる人はいるだろう。
 そうしたなか研究グループは、フクロウの静音飛行に寄与している羽根の鋸歯形状を調査し、その構造を UAV のプロペラ用に複数のパターンでモデル化。約2年の歳月をかけて改良を加え、騒音低減効果を検証した。