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2018.09.21

ウイングトラベル

ツーリズムEXPOジャパン2018が開幕

世界136カ国・地域から1440団体が出展

 「ツーリズムEXPOジャパン2018」が9月20日、東京ビッグサイトで開幕した。国内外の観光関係の官民トップが多数集結した。初開催から今年で5年目、日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)の三者が主催者として、海外・国内・訪日旅行の三位一体イベントとして2年目、一般消費者B2C向けの2日間とともに、業界向けB2B商談会を2日間に拡大し、B2Bを大幅に強化した。B2BとB2Cを網羅し、世界の136カ国・地域、国内47都道府県、合計1440の出展者が集まる世界を代表するイベントとなった。

 

 田川会長、旅の力で復興の牽引役を果たす

 開会式には、主催者代表とともに、石井啓一国土交通大臣、田端浩観光庁長官が登壇、会場には世界各国から来日した各国観光大臣、大使、新任のUNWTO(国連世界観光機関)のズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長、WTTC(世界旅行ツーリズム協議会)のグロリア・ゲバラ・マンソ理事長ら、昨年をさらに上回る世界を代表する観光関係者が参集した。
 開会冒頭、主催者を代表して挨拶に立った田川博己JATA会長は、国内各地で相次ぐ災害を念頭に「2017年の国際観光客数は前年比7%増の13億2200万人に上り、8年連続増加した。災害に対しても、旅の力で復興の牽引役を果たしたい。ツーリズムEXPOジャパンは5年を迎え、世界136カ国・国内全都道府県から1440の企業・団体が参加するイベントの拡大した。B2B商談会、B2C一般来場などで19万人を超える規模を想定している。今年は旅の力を『見える化』し、日本、世界を代表するツーリズムの完成形をお見せする。そして、来年は大阪開催で元気な西日本のツーリズムを見せたい。東京開催を楽しんでほしい」と述べ、ツーリズムEXPOジャパンの開会を宣言した。

 

※写真=ツーリズムEXPOジャパン開会式で主催者を代表して挨拶する田川博己JATA会長

 

 石井国交相、観光先進国へアウトバウンド拡大も

 来賓を代表して石井国土交通大臣は、「観光は経済だけでなく、社会情勢、環境保護、文化、平和、安全に大きく貢献しており、今後の成長を継続させることが重要。近年観光を取り巻く状況が大きく変化している。昨年の訪日旅行者数は2869万人と過去最高を記録し、旅行消費額も4兆4162億円と産業別で自動車、化学製品の輸出額に次ぐ規模になった。また、海外旅行者数も2017年は前年比4.5%増の1788万人になるなど、明るい兆しが見えてきている。政府においては、観光先進国をめざす上では、インバウンドの拡大とともに、日本人自身もこれまで以上に積極的に外に出掛け、諸外国と双方向の交流により相互理解を深め、日本を真に世界に選ばれた国にすることが肝要と考える」と述べ、インバウンドとともに、アウトバウンドの拡大することの重要性を改めて強調した。

 

※写真=来賓を代表して挨拶する石井啓一国土交通大臣

 ジャパン・ツーリズム・アワード大賞に雪国観光圏
 本保審査委員長、観光のレベルアップに貢献

 開会式後には第4回「ジャパン・ツーリズム・アワード」表彰式が開催され、大賞、優秀賞、特別賞、UNWTO部門賞などの受賞者が表彰された。また、各海外・国内の部門賞受賞者も会場に参集した。大賞は一般社団法人雪国観光圏が、「地域連携DMOによる新たなブランドづくり『真白き世界に隠された知恵に出会う」のテーマで受賞した。日本版DMOの大賞受賞は初めて。
 雪国観光圏の井口智裕代表理事は、「3県7市町村が連携してスタートしてから10年目を迎える。広域ゆえに大変なこともあるが、雪国を観光のブランドにするべく取り組んできた。民間主導で事務局機能も十分ではないが、本業を抱えながらも自分たちの使命を担って動ける仲間たちに恵まれていることが雪国観光圏の強みであり、この受賞が一緒に動くメンバーの励みになり、雪国に住む人の誇りにつながれば幸い」と受賞の喜びを語った。
 本保芳明審査委員長は全体報告で、「雪国観光圏の大賞はDMOだから受賞したわけではなく、持続的に事業を進め、地域観光の未来図を描き、着実に成果を挙げて、地域創生のモデルを提供した。今回のツーリズムEXPOの全体テーマが「観光で地域創生」で、それに見事に応えた。各地のDMOが雪国観光圏に学んで地域創生に貢献することを期待する。優秀賞は大賞と紙一重のレベルで、JTBのホノルルフェスティバルは持続可能なアウトバウンドのモデルとして評価した。日本の観光をさらに推進するためにも、ジャパン・ツーリズム・アワードは観光の『アカデミーショー』をめざすべきと昨年申し上げたが、現状はまだ遠く、多くの国民が共感を呼ぶまでに至っていない。アワードがツーリズムEXPOとともに進歩して、日本の観光のレベルアップに貢献することを期待する」と述べた。

 

※写真=ジャパン・ツーリズム・アワード受賞者

 

 UNWTO事務局長、日本とさらなる関係強化
 テクノロジーとイノベーションで新たな成長

 基調講演では、UNWTOのズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長、WTTCのグロリア・ゲバラ・マンソ理事長が登壇した。
 ポロリカシュヴィリUNWTO事務局長は、これからのツーリズムの課題として、「デジタル変革」を挙げるとともに、日本がツーリズムを官民で政策的に重要課題として取り組んでいることを評価。その上で、日本の観光機関とUNWTO東京事務所が連携して、さらに関係を強化する方針を示した。
 ポロリカシュヴィリ事務局長は、2030年のツーリズムは雇用の10%、GDP3位を目標にしており、それを果たすためにはイノベーション、テクノロジーを導入し、新たな旅行者の体験、質の高い雇用を生み出し、世界的に連帯した観光業界をつくり出すことを提言した。
 ポロリカシュヴィリ事務局長は、観光は経済的な成果だけでなく、貧困の克服、平和な社会、地域の創生に貢献する。観光はイノベーションとつながるべきとし、9月27日は観光の日に向けて、新しいアイデアを募集したところ約3000の応募があったという。
 「新しいアイデア、新しいビジネスモデルが世界のツーリズムに広がる。日本はイノベーションでは世界最先端の国で、伝統とイノベーションが両立している。日本がツーリズムのイノベーションをサポートしてくれると期待している」と述べた。

 

※写真=基調講演するズラブ・ポロリカシュヴィリUNWTO事務局長

 

 WTTC理事長、官民連携で日本の観光産業成長
 円滑な旅行、危機管理、持続的成長が課題

 グロリア・ゲバラ・マンソWTTC理事長は、WTTC会員の30%はアジアで、ツーリズムの成長を牽引しているのはアジアであることをあらためて強調した。とくに、アジアの観光産業のGDP成長率5.4%に対して観光産業GDPへの直接貢献は9.8%と伸びた。多くの観光投資がアジアに向けられている。
 その中でも日本は4番目で、観光産業のGDP成長率が3.4%に対して、観光産業GDPへの直接貢献は6.8%と倍の伸びを示した。マンソ理事長は、「日本のツーリズムの偉業の達成は、官民の連携によって実現できている」と指摘した。
 マンソ理事長は、IATA(国際航空運送機関)は世界の航空旅客数は2017年の41億人から2036年には78億人に達すると予想していることを紹介、アジアを中心にツーリズム産業が成長していくことを強調した。
 その上で、マンソ理事長はツーリズム産業の3つの課題として、1.安全と旅行の円滑化、2.危機管理、3.持続可能な成長の3点を挙げた。その解決策として、円滑な旅行にはテクノロジーによるシームレスな旅行が必要で、「3時間前ではなく、20分前に空港に到着して搭乗できる」ことが目標とした。危機管理は、日本を手本として、官民による危機管理の取組を挙げた。持続的な成長には、教育による雇用確保、社会的な責任としての人身売買、野生動物の販売、気候変動対策などを旅行者からサプライヤーまで取り組むことを訴えた。
 マンソ理事長は、バルセロナやベニスにおけるオーバーツーリズムの問題、観光を戦略的に取り組む事例としてメキシコと日本を紹介した。来年セビリアで4月3日、4日に開催するWTTCグローバルサミットでは、バルセロナ、ベニスのオーバーツーリズムへの改善策を議論するとして、日本の観光関係者に参加を呼びかけた。

 

※写真=基調講演するグロリア・ゲバラ・マンソWTTC理事長

 

 田川会長、来年は大阪で地域創生に焦点
 W杯・五輪へスポーツ・ツーリズム普及を

 基調講演後には、主催者を代表して田川JATA会長、久保日本観光振興協会理事長、清野JNTO理事長、ポロリカシュヴィリUNWTO事務局長が記者会見した。
 田川会長は、今年のツーリズムEXPOジャパンについて、「三位一体型の総合観光イベントの完成を見せたい。フォーラムは観光で地域創生の可能性を議論、各種プログラムを深めていきたい。観光大臣会合では日本から田端観光庁長官、小池東京都知事が参加し、サスティナブルの観光のモデルを話しあう。今後のツーリズムの方向性について、示唆に富んだものになると確信している」と述べた。
 また、展示については過去最大の規模、欧米では標準の展示会形式の商談を2日間実施。「新しい旅の形の見える化」を図り、海外ではアドベンチャー・リゾート・スポーツなど新たなツーリズムの企画展示も行う」と強調した。
 また、災害からの観光復興は、ツーリズムの果たすべき大きな役割とし、「日本でも海外でも問題なく旅行できる地域や国が出展している。西日本豪雨の地域、北海道も出展。ふっこう割の被災者コーナーもできた。来年2019年は大阪で開催するので、観光交流の地域創生を全国に波及させたい。国内では19年、20年と大型スポーツイベントが続く。日本中にツーリズムを広める役割を果たしたい」と意気込みを語った。

 

 海外はツーリズムに新たなビジネスモデル
 2021年東京開催へ業界のポジション確立

 同席したポロリカシュヴィリ事務局長は、日本での初会見に当たり、「日本から新しい技術、旅行の円滑化などを学びたい。来年のラグビーW杯、20年の東京五輪・パラリンピックはより多くの観光客を誘致するチャンス。これからのツーリズムにはテクノロジー、イノベーションが重要で、これを優先課題としてサポートして、テクノロジーによるイノベーションを実現していきたい」と述べた。
 田川会長は、旅行産業のテクノロジーとイノベーションについて、「業界はテクノロジーをまだ活用できていない。イノベーションも不十分。19年のラグビーW杯、20年の東京五輪・パラリンピックが勝負で、この2年間で追いつけ、追い越せでいきたい」と意気込みを示した。
 ポロリカシュヴィリ事務局長は、UNWTO加盟国の起業家、中小企業を対象に募集した新しいプロジェクト3000件の中から、「スポーツ&ツーリズム」を紹介。「イノベーションによる新しいビジネスモデルで、スポーツとツーリズムをつなげた」と述べた。また、ガストロノミーやプラスチックなど直面している廃棄物処理の問題もイノベーションで解決する。自然災害への対応もデジタルだけでなく、新しいアイデアを使うことの重要性を指摘した。
 田川会長は「2021年以降は、この2年でどこまで進むかがカギになる。ツーリズム全体からは食、環境、気候変動などを含めて考えると、テクノロジーは大きな効果を発揮しているが、ツーリズムはスタートしたばかり。スポーツイベントで見える化して見せていくことが国家として必要なテーマになる」との見解を示した。
 ただ、「旅行業界は古い歴史があり、古い会社がどうできるか、打破していくのかをこれから考えていく必要がある。時代が大きく変わる。テクノロジーとイノベーションを大いに活用していく」と述べた。
 これを受けて、2021年移行のツーリズムEXPOジャパンについては、UNWTOは2030年の国際観光客数を18億人、IATAは2030年の世界の航空旅客数を78億人と試算している。だが、この2年間で動きがないと2030年は始まらない。世界の国際交流人口の中で、日本の立ち位置をツーリズムEXPOジャパンで示すことが重要と考える」と方向性を示した。

 

※写真=左から久保成人日本観光振興協会理事長、田川博己JATA会長、ズラブ・ポロリカシュヴィリUNWTO事務局長、清野智JNTO理事長