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2026.01.06

ウイングトラベル

★2026年は多様化する消費動向への対応力が問われる年に

 旅行会社トップの年頭所感、万博で得た知見も活かす

 

 2026年がスタートし、旅行会社各社のトップから新年を迎えてのメッセージが寄せられた。2025年の振り返りでは大阪・関西万博という国際的な大型イベントへの関与を通じて、さまざまな知見を得たと総括する声が多く、このレガシーをいかに今後のビジネスに活かしていくかという点を強調する声が寄せられた。また、円安や物価高をはじめとして経済情勢がめまぐるしく変化し、消費者の旅行に対する行動様式が「二極化」している状況に対応するために、さらなるサービスの磨き上げに注力し、新たな価値を提案していく考えが示された。加えて、AIを中心とした急速なデジタル化の動きや引き続き深刻な状況が続く人財不足の課題に対して、強い問題意識を持って対峙していく必要があるという覚悟を感じさせる内容も目立った。

 

■交流創造を軸に、持続可能な成長へ
 JTB、山北栄二郎代表取締役社長執行役員

 

 昨年は、世界で交流が大きく進展した一年でした。「大阪・関西万博」は人々の往来を促進し、『交流』の大きな可能性を再認識いたしました。訪日外国人旅行者の回復は日本のツーリズム産業全体の確かな成長を物語り、JTBグループもグローバル事業の躍進でその一翼を担いました。JTB時刻表は汽車時間表として創刊してから100年という節目を迎え、旅の歴史と文化を未来へつなぐ役割を心に刻んでおります。さらに、国連世界観光機関(UNツーリズム)より、アジア太平洋地域の観光発展への貢献を評価され、日本企業として初の栄誉ある賞を賜りました。この栄誉を胸に、私たちはグローバル企業としての責任と役割を一層強化し、持続可能な観光の推進に尽力してまいる所存です。
 さて、最新のIMF世界経済見通しによれば、世界経済は依然として不確実性の高い状況にあり、地政学的な緊張や貿易摩擦などの下振れリスクが指摘されています。しかしながら、多国間協力の重要性も強調されており、国際的な交流の再活性化に向けた動きは、新興市場の活力とともに、訪日観光や日本の地域の魅力を世界へ発信する追い風となります。
 このような複雑なグローバル環境において、JTBグループは、長年培ってきた知見とネットワークを生かし、ツーリズム産業の発展に寄与してまいります。コロナ禍を経験し、「交流」の価値と、その効果を客観的に示すことの重要性を強く認識しました。産業全体の付加価値を高めるため、「インテリジェンス」の強化が不可欠です。その実現に向け、2025年には観光産業B2Bメディアの世界最大手であるノーススター・トラベル・グループ(NTG)を買収し、完全子会社化いたしました。
 NTGが持つ世界のツーリズム産業の知見とネットワークは、JTBグループにとどまらず、世界のツーリズムの価値を向上させる力となります。
 本年、JTBグループは「長期ビジョン」を本格的に始動させます。これは、未来から現在(いま)を創るバックキャスト思考に基づき、変化の速い社会やお客様の多様なニーズに応え、新たな価値を生み出すための指針です。AIをはじめとするデジタル技術の急速な進化を好機と捉え、人とデジタルの力を融合させることで、パーソナルで質の高い旅行体験の提供、そしてデータドリブンで地域課題を解決するソリューションの展開を加速してまいります。
 NTGとの連携を深め、グローバルな事業展開を強化し、世界規模でのMeetings& Events需要に対応することで、国際的な交流促進に力を入れてまいります。
 こうした事業展開を進めるなかで、私たちが特に重視するのが「持続可能性」です。持続可能な観光の実現は、社会と地球に対する私たちの重要な課題であり、果たすべき役割であると認識しております。
 GSTC認証を基盤に、気候変動対応や地域共生を推進し、地球と社会に貢献する企業として積極的に取り組んでまいります。社員一人ひとりが「交流創造」の担い手として最大限の力を発揮できるよう、DEIB(多様性・公正性・包括性・帰属性)に基づいた組織づくりと、学び続ける文化、イノベーションを生み出す環境整備に注力いたします。社員の活躍がお客様へのより質の高いサービス提供に結びつき、JTBグループ全体の企業価値向上につながるものと確信しております。
 『地球を舞台に人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する』。この経営理念を胸に、JTBグループはこれからもお客様、地域、パートナーの皆様とともに、持続可能な社会の実現に向けて、さらなる挑戦を続けてまいります。

 

※写真=JTB、山北栄二郎代表取締役社長執行役員