【潮流】逆境下で積み重ねる旅行業の奮起
年末を迎え、今年1年を振り返る機会が増えてきた。そのような中で、旅行業界関係者がそれぞれの現場で重ねてきた奮起の成果に触れる場面も多くなっている。日本旅行業協会(JATA)が12月18日に実施した「韓国旅行商品コンテスト」と「ハワイ団体セールスコンテスト」の表彰式も、2025年に旅行会社各社が取り組んできたさまざまな挑戦の結果を受け止める機会となった。
小欄でも繰り返し触れてきたとおり、日本人による海外旅行は、いまだコロナ禍前の水準には戻り切っていない。今年1~11月の日本人出国者数は1343万800人となり、昨年1年間の総計である1300万7282人を上回ったものの、2019年同月比では回復率73.1%にとどまっている。
その一方で、日本から韓国への訪問者数は360万人を超え、過去最高を記録した2012年の実績を上回る勢いで推移している。海外旅行市場の中でも、いち早くコロナ禍前からの回復を果たしたマーケットといえるだろう。
ただし、その内訳を見ると「ソウル一極集中」という課題も浮かび上がる。日本人旅行者をいかに地方へ誘客していくかは、引き続き大きなテーマだ。
この課題に対し、韓国観光公社は地方の魅力を「絶品グルメ30選」「絶景30選」として整理し、旅行会社に情報提供を行ってきた。今回の旅行商品コンテストは、そうした素材を活用した商品造成の成果を評価する場として実施されたものだ。
受賞作品はいずれも、韓国地方部の魅力を日本人旅行者に伝えたいという強いメッセージ性を兼ね備えていた。チャーター便の活用や説明会の開催など、手法は多様だが、地道な販促活動を積み重ねてきた結果が、ひとつの形となって表れたといえる。
受賞者からは「絶景30選の風景を実際に体感してもらいたい」「ソウル以外の魅力を伝えたいという思いを持ち続けてきた」といった声が相次ぎ、その熱意に改めて敬意を表したいと感じさせる場となった。
一方、日本人海外旅行の代名詞的存在であるハワイは、円安や物価高の影響を強く受け、本格回復にはなお時間を要しているのが実情だ。今回初めて実施された「ハワイ団体セールスコンテスト」は、日本人団体旅行の早期回復と、団体セールスに携わるスタッフのスキル向上を目的に企画された。今回は旅行会社9社から129人が参加し、このうち27人が「ハワイ団体エキスパート」として表彰された。
受賞者のコメントからは、「渡航費や滞在費が上昇する中でも、さまざまな切り口でハワイへの団体送客を模索してきた。その努力が評価され、表彰の場に立てたことがうれしい」といった率直な思いが語られた。
これに対し、JATAとともにコンテストを主催したMeet Hawai’iのアンドリュー・コー常務取締役は、「皆さんの熱意や想像力、粘り強さこそが、何度もハワイを選んでもらう原動力となっている。その取り組みに心から感謝している」と賛辞を送った。
ハワイが日本人旅行者にとって憧れの存在であり続けている背景には、旅行会社をはじめ、現地関係者がたゆまぬ努力を重ねてきた事実がある。そのことを改めて認識させられる場でもあった。
2025年も間もなく終わりを迎え、2026年が始まろうとしているが、現時点で経済情勢が好転する材料は多くない。日本人海外旅行を取り巻く逆境は、しばらく続くことになると言わざるを得ない。
しかし、こうした環境下だからこそ、旅行会社をはじめとする観光関係者が知恵を出し合い、新たな需要を掘り起こしていく取り組みが問われている。本紙としても、その奮起の模様を丁寧に拾い上げ、継続的に紹介していきたい。国際情勢が混とんとする中で、いたずらに需要減退を煽るのではなく、業界が一丸となって前に進む流れを後押しすることが重要だと考えている。
2025年の「週刊ウイングトラベル」は今号が年内最終号となる。来年末、この小欄で海外旅行マーケットをどのように振り返ることになるのか。その時を思い描きながら、本年の締めくくりとしたい。(嶺井)
