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京大、高温耐酸化性優れた高強度Cr-Mo合金開発

新たな合金設計指針の確立に成功
京都大学の乾晴行教授らの研究グループが、高温耐酸化性に優れ、かつ室温変形能に富んだ新規の高強度Cr-Mo(クロム-モリブデン)合金の開発に成功した。航空エンジンで活用されているニッケル基超合金よりも融点温度が高いことから、次世代エンジンの更なる環境適合性深化・高効率性などに繋がっていくことも期待できそうだ。
なお、この研究はドイツのカルスルーエ工業大学DECHEMA研究所と共同で進めており、これまでの研究成果から、高温での耐酸化・窒化性を同時に改善できる可能性が高いCr-Mo 合金に着目。その合金組成 Cr/Mo比とケイ素(Si)添加の効果を実験から検証し、新規の高強度高延性合金開発に成功した。さらに、新たな合金設計指針の確立に成功したという。
研究グループによれば、「この研究で提案した合金設計法はCr-Mo-Si 三元系合金に限らず、異なる組み合わせの耐火金属合金にも適用できる」とのこと。この合金設計法は、「従来のトライ・アンド・エラー的な方法より、実験および計算に必要な時間と労力を大幅に削減し、迅速かつ正確に複雑な多元系合金の最適合金組成の設計を可能にする」との見方を示した。今後、研究グループとしては異なる組み合わせの耐火金属合金の探索を行うとともに、Cr-Mo-Si 三元系合金についても組織制御からとくに力学特性(高強度/高変形能・延性)を更に改善することを目指す方針だ。
※画像=航空エンジンの更なる高効率・環境適合性向上に繋がっていくか。新合金への期待は大きい