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SAF原料候補の稲わら、かさばる問題を石灰で解決

農研機構ら新プロセス開発、糖化特性も向上の両得
SAF(持続可能な航空燃料)の原料として期待されるバイオエタノール。日本の主食である米の稲わらもまた、貴重な国産バイオエタノールの原料源候補だ。稲わらは発酵性の糖を含み、これを取り出してエタノールに変換することで、環境価値の高いSAFなどのバイオ燃料や化成品原料などとして利用することができる。ただ、稲わらはかさばるため、その輸送・貯蔵が困難という課題がある。そうしたなか農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と足立石灰工業が、石灰処理後に稲わらを圧縮し体積を抑える「CaPPAプロセス」(農業副産物を加圧するための消石灰前処理プロセス)を開発することに成功した。
このプロセスを活用することで、輸送・貯蔵性が向上するだけではなく、糖化特性も向上するとのこと。地域のバイオエタノール製造原料として、より供給しやすく、備蓄しやすく、かつ活用しやすくなる。農研機構らは今後、原料加工拠点候補の石灰製造企業やバイオ企業等との連携することで、このプロセスの産業技術化を加速していく方針だ。
稲わらは、食料生産と競合せず、持続的かつ大量に供給可能な主要な国産バイオマス資源だ。しかしながら前述したように稲わらはかさばるため、圃場でロールベールなどに梱包しても輸送・貯蔵の効率が悪い。そのため多くが圃場に放置されたままの状態にあることが実状だ。
この問題を解決するためには、稲わらを高密度化して効率的に供給する仕組みの構築が不可欠。例えば、圃場からエタノール製造工場まで直接輸送することは非効率的であるため、まず圃場で梱包した稲わらを地域内の原料加工拠点まで一次輸送し、そこで高密度化・一次加工を経て、工場へ二次輸送するシステムを構築することが必要となる。
※画像=エタノールの貴重な原料となる稲わら。SAFなどにも活用できる。その輸送問題の解決に寄与