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2022.03.10

アフターコロナ、ウィズコロナが沖縄の追い風に

KPG HOTEL & RESORT 取締役社長 兼 COO/営業本部長 田中正男 氏

インバウンド市場の拡大で、観光客数が大幅に伸びた沖縄。それに伴い、各地でホテルの建設が進み、受け入れ態勢が格段にアップした。新型コロナウイルスは沖縄の観光市場において、大きな影響を与えたが、これからのアフターコロナ、ウィズコロナの時代において、国内にいながら海外の雰囲気が感じられ、リゾート地である点も含め、他にはない魅力を持つ沖縄の優位性はさらに高まるだろう。沖縄各地でリゾートホテルを展開する田中氏に沖縄の今後のポテンシャルについて話を伺った。

 

インバウンドが拡大
<これまでの沖縄の状況について>

 

 2013年の新石垣空港の開港や翌年には那覇空港の国際線旅客ターミナルがオープンし、まずは空港インフラの整備が進んだ。一方で名護を中心とする北部エリアや北谷エリアでのリゾート開発も進み、観光客の受け皿も拡大した。
 それに伴い、2015年ごろから近隣の中国や韓国、台湾からのインバウンド市場が成長。クルーズや国際線が大きく伸びていった。こうしたインバウンド市場の成長に合わせて、2018年には外資ブランドのホテルが相次いで開業、翌年には観光客が1000万人を突破、国内外から観光インフラ面での投資が集まっている状況は続いている。
 さらに2019年3月には、みやこ下地島空港が整備され、2020年3月には那覇空港で2本目の滑走路の運用が始まった。非常に観光のポテンシャルがあるのが沖縄と言える。

 

©OCVB

 

日本で一番観光に特化した県
<沖縄県にとっての観光業の重要性>

 

 沖縄県は、日本国内で最も観光に特化した県だ。県民総生産の20%が観光収入で、約15万人が観光業に従事している。また地理的条件を見ても、那覇を中心として考えた場合、日本人、周辺のアジアの国を含めて20億人が4時間圏内に住んでいる。
 しかしながら新型コロナウイルスの影響で、この2年間で売り上げなどが10分の1にまで減少し、今沖縄の観光業は政府からの補助金でしのいでいるという状況にある。

 

まずは国内需要が復活、爆発的回復に期待
<今後について>

 

 新型コロナウイルスが収まると、旅行需要は爆発的に復活すると予想している。去年の11月ごろ、いったん落ち着いた頃には、コロナ前の2019年を超えるぐらいまで数字が伸びた。
 以前、日本のアウトバウンドの旅行者数は2000万人だった。このコロナ後、すぐにはアウトバンドが戻るのが難しいとも考えられるが、この2000万人の10分の1が沖縄に訪れれば、この4月頃から、沖縄の需要は相当回復するとみている。大手の旅行会社がまずは沖縄、北海道を中心に商品販売を活性化しようという流れもある。
 そうなった場合においても、拡大する需要に対応できるキャパシティが沖縄にはある。また、羽田から海外へ行く国際線のスロットを沖縄に切り替えるのではないかと予測している。那覇空港の2本目の滑走路ができているので、飛行機の受け入れ態勢もある。
 いずれ近隣諸国の台湾や香港などの需要も戻ると思うが、まずは国内需要が戻るのではないかと予測している。アフターコロナ、ウィズコロナにおいては、沖縄にとっては追い風しかないと考えている。

 

コロナ禍で高まる貸切需要
<今後の営業展開について>

 

 私自ら様々な提案を行っている。コロナ禍により、海外で企業の報奨旅行ができない中、国内で、また、ウイング全体やホテル棟をまるごと貸切したいという声が上がっている。当グループのホテル「グランディスタイル沖縄読谷ホテル&リゾート」では、全54部屋を貸し切ったインセンティブがコロナ禍でも実際に行われている。
 小グループ向けに使い勝手が良く、学校のゼミ旅行やサークル旅行、ワンバス貸し切りなど、今後そういった需要も増えていくと予測している。
 今年4月15日にグランドオープニングを迎える「アクアセンス ホテル&リゾート」は77室、全室オーシャンビューでバルコニーに屋外ジェットバス付き、また4室のスイートには温水プールが付いている。ここの団体向けの貸し切りなどもおすすめできると考えている。

 

アクアセンス ホテル&リゾート

 

新たな提案も

貸切、平和学習、LGBTQ向け

 さらに、今年は本土復帰50年の節目。沖縄は観光も素晴らしいが、プラスαの要素となる平和を考える機会があってもいいのでは思い、戦争を知らない世代に向けた「大人の平和教育学習」を提案している。県営平和祈念公園の「平和の礎」やひめゆりの塔、旧海軍司令部壕( 海軍壕公園)、ガマ(防空壕)などをテーマとした旅の提案を旅行会社に働きかけている。沖縄は観光も素晴らしいが、プラスαの要素となる平和を考える機会があってもいいのでは、と提案している。

県営平和祈念公園の「平和の礎」©OCVB

他には、一般社団法人ピンクドット沖縄という団体でLGBTQのサポートをしている。団体の目的は、法的に同性婚を認めること。また、そういう方々が住みやすい世界をサポートすることだ。
 観光業で考えると、LGBTQの方々はダブルインカムで旅行に使えるお金が多い傾向があるので、このマーケットに、沖縄を「レインボーアイランド」と掲げて活動している。今後、インバウンドが再開されれば、アジアで唯一同性婚が認められている台湾の方々に、沖縄で同性婚をしてもらいたいと考えている。
 沖縄にもっといろいろな人が集まってくることで、「まぜこぜ」の意味である沖縄の言葉「ちゃんぷるー」が実現し、本当のダイバーシティが実現できると思っている。

 

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