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2021.02.03

WING

MROジャパン、EASA認証取得目指す

リース活溌化で返却前整備市場に着目

 沖縄・那覇空港に拠点を構えて航空機整備事業を展開するMRO Japan(MROジャパン)が、欧州航空安全庁(EASA)認証の取得を目指していることが分かった。同社によれば、リース返却前の整備市場への参入を計画しているとのことで、昨年来、EASA認証取得に向けた取り組みを進めていることを明らかにした。
 LCCモデルが世界各地で台頭しているほか、コロナ禍前にはアジアを中心に続々と新規の航空会社設立が相次いだ。そのため航空機リース市場が活発化しており、その航空機リースではリース期間満了で機体を貸し手に返却する場合、返却前整備を実施することになっているが、「返却前の最後の整備ではEASA認可を有するレベルの企業で整備することが、航空会社とリース会社の契約の間では一般的な条項になっている」という。MROジャパンとしてはEASA認証を取得することで、日本を含めたアジアの巨大なリース返却前整備市場の取り込みを狙いたい考えだ。
 これは日本総研が主催した「航空機MROのいまがわかる 沖縄県航空関連産業クラスターセミナー」のなかで明らかにされたもの。同社によれば、計画上は今年度中に取得することができる予定だったようだが、新型コロナの影響で最後の実地検査を実施する調査官が来日することができず、認証取得は後ろ倒しになっているという。
 そのため「渡航制限が終了すれば、すぐに検査することができるように調整している」とし、取得時期の見通しはコロナ次第ということになろうが、「どうにか調査官が訪日することができないか検証を進め、EASAと調整している。上手くいけば来年度中には取得することができる」として、早ければ来年度中の認証取得を目指したい考えだ。
 なおMROジャパンは2015年6月1日に伊丹空港で創業。2019年1月には伊丹空港から移転して、那覇空港に沖縄事業所を開設した。同社はANAホールディングスのほか、三菱重工業、ジャムコ、そして地元・沖縄県の金融機関などが出資して設立されており、その母体となったのは全日空整備だ。
 開設したばかりの沖縄事業所は地上3階建ての幅約190メートル、奥行き約100メートル、高さ約33.5メートル、床面積1万7800メートルの格納庫を有しており、767型機、777型機、787型機といった中大型機を1機格納することが可能な大型ドックと、737型機やA320、DHC-8-400型機を3機格納することが可能な小型ドックを備えている。ちなみに、大型ドックでは国内では唯一、本格的な機体塗装に対応可能な能力も有していることが大きな特長だ。

 MRO市場へのコロナ影響を如何にみるか
 短期的に国内需要増も機体数減を注視

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、航空業界は未曾有の危機に見舞われている。国際線ネットワークは各国政府の厳しい出入国規制によって依然として崩壊した状態が続く一方、国内線についても回復の兆しが見えたかと思えば、感染拡大の波が再び押し寄せ、需要が消失する事態が繰り返されている。本邦航空会社の通期決算見通しをみても、ANAホールディングスが純損失5100億円、日本航空(JAL)も純損失3000億円を見込むなど、航空各社の財政状態はまさに火の車だ。
 そうしたなか航空機MRO市場への影響については、・・・・・・・・。

 人材確保とコスト競争力が事業拡大の鍵

※写真=MROジャパンがEASA認証取得を目指す。リース返却前整備市場の取り込みを狙う
http://jwing.net/w-daily/pict2021/2102/0203mro-w.jpg