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2020.08.07

ウイングトラベル

★東京の観光再生で「日本の観光を前に進める」

 田川東商副会頭、5つの提言で新時代の観光構築

 東京商工会議所の田川博己副会頭・観光委員長(JTB取締役相談役)は8月6日、東京都の多羅尾光睦副知事を訪問し、東京の観光振興のために緊急かつ優先的に取り組むべき5項目をまとめた「コロナ禍における東京の観光振興策に関する緊急提言」を申し入れた。田川副会頭は会談後に本紙らの取材に応じ、「最大のテーマは、東京という最大の観光地をもう一回再確認、再生すること。東京の観光政策が前に進むことは、わが国の観光が前に進むことになる」として、コロナ禍で傷んだ東京の観光を再生させ、首都圏ひいては日本の観光を再生させたい考えを示した。
 本紙8月3日号で既報の通り、東商観光委員会は今回の緊急提言で、緊急かつ優先的に取り組むべき5項目として、観光関連産業の事業継続や経営力向上に向けた強力な支援の継続、「攻めの検査」を行うためのPCR検査体制等の拡充、都内観光事業者の安全対策や都市の安全性等に関する発信強化、感染症対策を含めた災害発生時の観光危機管理、域内観光を通じた需要喚起への取り組みなどを申し入れた。
 田川副会頭は、「これらの5項目がトータルで動き出すことによって、新しいニューノーマルの時代の観光をどう作り上げるかが見えてくる。新しい旅のカタチが見えてくれば、次のステップにつながる」として、東商ではその先も見据え、中長期的に取り組むべき事項などについても今回の緊急提言に盛り込んだ。

 

 多羅尾副知事、「日本、東京は必ず復活する」
 安全安心が都市の価値に、PCR検査拡充も検討

 今回の申し入れを受け、多羅尾光睦東京都副知事は会談で、本来であれば8月6日は東京オリンピック・パラリンピックのラスト4日目で、2019年の訪都外国人観光客数が1518万人に達していたことから考えても、まさかこうした事態になるとは思ってもみなかったとして、想定外の事態に直面しているとの認識が示されたという。それでも多羅尾副知事は、「しかし日本、東京は必ず復活する。ハード、ソフトをここで壊滅させてはならない。次のステージまで耐えていけるように様々な支援を講じていかなければならない」と強い決意を表明、今後はますます安全安心が都市の価値として重要になってくるとして、検査件数が限られ費用も高いPCR検査についても、抜本的に考えていかなければならないとの認識が示されたという。

 

 東京は安全対策徹底もコロナで「一回白紙に」
 感染症対策の発信強化、災害時マニュアル改訂を
 Go Toトラベルの東京対象に備えて準備を
 東京や大阪が動かなければ遠距離方面厳しく
 観光復興へのシナリオ、オリパラが最大のテーマ
 日本の観光の信用とインバウンド復活のカギ握る

 今後の観光復興へのシナリオをどう描くのか。田川氏はあくまで私見と前置きした上で、「東京オリンピック・パラリンピックがあるかどうかが最大のテーマ。オリパラがどう決まるかによって、日本のインバウンドの行く末が変わると思っている」と述べ、仮にオリパラが中止になれば日本のインバウンド復活には相当時間がかかるのではないかとの見方を示した。

 

※写真=田川博己東商副会頭・観光委員長(左)と、東京都の多羅尾光睦副知事