2020.08.04

WING

なぜ小笠原空港就航候補機にAW609は盛り込まれたのか

地元悲願の空港、ティルトローターで計画より短滑走路にも

 小笠原空港の建設---。地元・小笠原村の長年の悲願だ。小池都政の下、同空港建設に向けた歯車は回り始めている。小笠原村は東京都でありながら、本土と約1000キロメートル離れている。アクセス手段は東京(竹芝桟橋)-父島間は週1便の定期船で結ばれているのみで、およそ24時間もの船旅となる。そのため医療体制および世界遺産となった観光アクセス充実などに向けて、地元が空港建設を長年に渡って要望し続けている。
 そうしたなか去る7月31日に開催した第9回小笠原航空路協議会において、東京都は新たにレオナルドが開発中の世界初の民間向けティルトローター機「AW609」を機体候補に加えた。
 東京都のこれまでの小笠原空港計画案では、当初1200メートルとしていた滑走路建設計画を、2018年6月に自然環境により配慮した滑走路長1000メートルとするとしている。この現在の計画案ではこれまで、仏ATR社製の短距離離着陸(STOL)型の「ATR42-600S」を候補機としてきていた。「ATR42-600S」は800メートルの短い滑走路があれば離着陸することが可能なほか、日本国内で航空会社がATR機を運用中であることなどから、その利用が有力視されてきていた。
 ところが今回の会合で東京都は、AW609を候補機の一つに加えた。東京都は「小笠原村の悲願である航空路開設という目的があって、これまでに機体メーカーの技術開発の進展を度合い調査してきた」とし、その調査の結果、さらに短い滑走路でも運用することが可能な機体としてAW609を候補機の一つとしたことを説明した。
 「AW609」はメーカー側の説明では「400メートルで離着陸することができる」(東京都)としており、滑走路を現行案以上に短縮することができることが大きなメリット。ただ、一方で旅客数はわずかに9名と、搭乗することができる旅客数としては「ATR42-600S」を大きく下回ってしまう。
 この点について東京都は・・・

 

※写真=小笠原空港建設に向け就航候補機にAW609も登場。世界初の民間向けティルトローター機として開発が進むAW609を使えば、現計画よりも滑走路を短縮できる可能性も(提供:レオナルド)