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2020.03.05

WING

赤羽国交相、羽田新経路で南風着陸時の安全性確認

JAL、ANAからヒアリング、2段階の進入でより安全に

 国土交通省の赤羽一嘉大臣は3月4日、羽田空港の新飛行経路運用の安全性を確認するため、去る1月30日以降に実機飛行確認を行った日本航空(JAL)および全日本空輸(ANA)からヒアリングを行い、新方式では安定した進入によって安全性が担保されていることを確認した。JALおよびANAが実際に新方式で飛行を行ったパイロットから集めたアンケートでは、十分な周知と着陸前の準備によって、おおむね安定した着陸操作によって対応できた。ただし、空気の膨張によって通常よりも高い高度を飛行する可能性のある夏場高温時には、進入角3.45度で進入しつつも途中で緩やかな3度に合わせる2段階の進入方式が望ましいことなどが示された。
 3月29日から開始する新飛行経路では、南風好天時にRNAV方式で通常の進入角3度よりも高角度な3.45度で進入する。そのため、一部報道などで安全性の懸念があるなど不安視されていた。このヒアリングでは、実際に飛行したパイロットなどから現場の率直な意見を聞くことが目的。赤羽大臣は「私自身も責任者として、実際に実機試験を行ったパイロットをはじめ、専門家である運航事業者から率直な意見を聞いて、安全性を確認しなければいけない」と述べて、両航空会社から新飛行経路に関する意見に耳を傾けた。
 このヒアリングに中立な立場で臨んだ航空評論家の小林宏之氏は事後の説明で、新経路による3.45度の運用について「現場からは安全に支障がなかったことが確認できた」と太鼓判を押した。新経路の運用に当たり、評論家として国交大臣が現場の人たちから事実を聞いて状況を把握したことが重要だとして、安全問題についてANA・JALとも進入角3.45度でのアプローチに問題がないことを示したことが大きなポイントだとした。
 ただし今後の課題点は運用の面だという。夏場は高温で空気が膨張するため、航空機は通常気温よりも実際には高い位置を飛行することになる。夏場高温時に安定して安全な着陸を行うため、およそ1500ft(約460メートル)の高さの地点で降下角を3度に変換して、最終的に1000ft(約300メートル)の高度で安定させることで、安全な着陸を行えると説明した。そのため今後の夏場高温時に向けて、現場の航空会社と国側が密に話し合うことが必要だとした。小林氏によれば、降下角3.45度での進入は、障害物などのために行う空港はいくつかあるものの、騒音軽減のために行う例は世界でも少ないとのこと。近隣住民などからは様々な心配が出てくることも考えられるため、特に現場からの事実の共有が大事だという。国としては海外航空会社も含めて羽田の特性、新経路について、周知を図ることが必要で、情報を共有しつつ進めていくことが課題だとした。

 

高度1000ftで準備完了、安全な着陸担保
新方式の着陸もパイロットの難度変わらず

 

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※写真=JALおよびANAから説明を受ける赤羽国交大臣