2018.06.05

WING

小野寺防衛相、日米韓3ヵ国の防衛相会談実施

 北朝鮮問題でさらなる連携確認、米朝会談へ弾みに

 小野寺五典防衛大臣は、シンガポールで行われた第17回IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、参加した各国国防大臣と防衛相会談を実施。積極的に会談に臨み、意見交換を通じて相互の理解および親交を深めた。特に3日は、米国のジェームズ・マティス国防長官および韓国の宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官と、10回目の日米韓および日韓での防衛相会談を開き、朝鮮半島情勢を中心に議論。来る米朝首脳会談を前に、3ヵ国での緊密な連携と圧力の継続姿勢について確認した。
 北朝鮮情勢については、北朝鮮による、完全で、検証可能な、かつ不可逆的な方法ですべての大量破壊兵器および弾道ミサイルの廃棄(CVID)に向けた具体的な行動を取らせるため、3ヵ国が緊密に連携していくことで一致した。さらに、情報の共有、ハイレベルでの政策共有、共同訓練などの3ヵ国の取組みを継続することとした。
 小野寺大臣は、北朝鮮の具体的な行動を引き出すための圧力について、3ヵ国ではすでに継続することで一致している認識だとした。また、北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題の解決は、日本にとって最終的に外交努力で解決すべき課題だと説明。防衛間の協力が外交を後押しするとして、このたびの3ヵ国での防衛大臣会談は、「6月12日開催予定の米朝首脳会談の後押しに当然なるもの」打と語った。
 海洋の安全保障など地域の課題に関する話題では、協議を行って航行および上空飛行の自由は確保されなければならないとして、すべての紛争が国際法に則った平和的手段で解決されるべきだと再確認したとのこと。3ヵ国での防衛協力が、各国家の安全と、地域の安全保障にも寄与するとして、今後も引き続き3ヵ国の防衛実務者協議の枠組みを活用して、防衛協力を推進していくことで一致した。
 一方でマティス長官はシャングリラ会合の中で、中国の南シナ海・東シナ海での活動に対して厳しく非難した。小野寺大臣は米国の姿勢と一致する姿勢として、自由で開かれたインド太平洋であることが大切で、南シナ海・東シナ海など「様々なところで力による現状変更はあってはいけない、国際法によってしっかり解決すべき」ことで、日米韓で一致していると説明した。日米韓防衛相会談の中で、韓国も中国の問題に懸念を示したとして、中国に対して共通歩調で対応するとした。また、日本の南シナ海などへの対応姿勢について、例えばそれぞれの国で独自に自国の監視能力を高めるため、能力構築支援などを行っていくことになるとし、「そういうキャパシティービルディングについては、今後ともやっていく」と会談で説明したという。

 日韓会談、韓国軍70周年観艦式へ艦艇を派遣

 日米韓の会談に続いて行われた、ソン韓国国防部長官との日韓防衛大臣会談では、改めて北朝鮮問題の解決へ、国際社会と緊密に連携していくことを確認。日韓防衛協力・交流については、幅広い分野で基盤を確立していくことで一致。さらに今年10月には、韓国で実施予定の韓国軍創設70周年記念国際観艦式へ、日本から艦艇を派遣するため、調整していくことを確認した。
 日本と韓国では北朝鮮への対応で、強い姿勢で臨む日本に対し、韓国では融和姿勢を強調して、温度差が見られることもあった。小野寺大臣は「国際社会が一致した圧力があった上で、対話の方向に踏み出しているため、当然圧力と対話というのは両立していく」との認識を示しつつ、ソン長官との会談では、北朝鮮の核・ミサイルのCVIDが目指すゴールであることを確認したという。

■日英会談、将来戦闘機スタディなど推進

 英国のウィリアムソン国防大臣との日英防衛大臣会談では、防衛協力と北朝鮮問題を中心に協議した。
 防衛協力については、昨年12月の「2+2」共同声明を踏まえ、英軍艦の展開、今年秋に日本実施予定の陸軍種間共同訓練など、防衛協力を進展させることで一致。さらに防衛装備・技術分野でも、「将来戦闘機における協力の可能性にかかわる日英共同スタディ」をはじめとして、協力を進めていくとした。
 北朝鮮問題では、北朝鮮による具体的な行動まで制裁を継続する日本の姿勢について、ウィリアムソン国防大臣が同意した。また「瀬取り」対策のため実施した監視活動の協力では、国連安保理決議の実効性を確保する上で有意義だったと確認した。

■日比会談、陸自で不要のUH-1H部品を無償譲渡へ

 ロレンザーナ国防大臣との日比防衛大臣会談では、小野寺大臣からTC-90の残り3機の移転に加え、フィリピンからの申し出を踏まえて、陸上自衛隊で不用となったUH-1H多用途ヘリコプターの部品など無償譲渡を決定したと述べた。先方から、日本の協力への謝意が示され、引き続き、両国の防衛協力を推進していくことで一致した。
 小野寺大臣によると、今後UH-1Hの日本での運用は終わりを迎えつつあるものの、日本には有効な部品がたくさんあるという。無償譲渡を行うことで、「フィリピンによる南シナ海を含めた警戒監視の能力を高め、南シナ海と東アジアの安定に寄与する」との見解を示した。
 また、ロレンザーナ大臣からは、北朝鮮による核の放棄を望む意向が示されたほか、日本として南シナ海に関するフィリピンの立場を支持し、フィリピン側からこれに謝意が示された。

■日独会談、対北朝鮮に日本と同意、サイバー協力強化

 小野寺大臣はフォン・デア・ライエン独国防大臣と2日、日独防衛大臣会談を実施した。会談では北朝鮮問題について、日本側から圧力を継続するようドイツと協力していきたい考えを示すと、ライエン大臣から日本の立場を完全に理解するとして、12日に予定する米朝首脳会談で、すべての射程のミサイル廃棄を含む全問題が交渉のテーブルに乗るべきで、それに多くの国が賛同する必要があるとの見解が示された。
 また、日独防衛協力・交流についても、NATOを通じた協力を含め、特にサイバー分野で協力関係を強化していくことで一致した。小野寺大臣は、先ごろエストニアのタリンに行って、NATOのサイバー分野での様々な活動、演習に日本も参加することで、日本の能力も高めたい考えを示し、日本側から、日独、NATOとのサイバー分野での協力関係の構築について依頼したとのこと。これにはは快い返事があったとして、この日独会談でも協力強化について触れた。

■日米豪、「戦略アクション・アジェンダ」策定

 マティス米国防長官とペイン豪国防大臣との日米豪防衛大臣会談は、北朝鮮を中心とした地域情勢と、3国間協力の進展などについて議論した。北朝鮮に対し、緊密に連携していくことで一致したほか、「自由で開かれたインド太平洋戦略」について米豪と連携し、自由で開かれた海洋秩序を維持していく考えで一致した。また、南シナ海では中国の一方的な現状変更が地域の緊張を高め、日米豪および国際社会が声を上げる必要があるとの共通の認識を示した。
 日米豪防衛協力については、共同訓練を始め、具体的・実践的な協力の進展を評価するとともに、自由で開かれたインド太平洋戦略の下、連携をより一層推進するための指針「戦略アクション・アジェンダ」を策定することで一致した。
 小野寺大臣は、このアジェンダが日米豪で共通の認識、利益を持つ地域などへ協力していくものだと説明した。また、開かれたインド太平洋戦略で、中国に対する警戒感を認識するとともに「例えば様々な地域で、日米豪がどのように対応していくか詰めていくことなども含まれる」と認識を示した。
 またオーストラリアも太平洋地域に関係の深い島嶼国を多数存在するため、中国に対する警戒感を示したという。3ヵ国では、南シナ海だけではなく、大洋州も含めて注視していくことが大事だとした。

■テオ副首相表敬、米朝会談ホストとして謝意

 小野寺大臣は3日、シンガポールのテオ・チーヒン副首相を表敬し、今月12日予定の米朝首脳会談で、ホスト国として果たす役割に敬意を表した。
 小野寺大臣から、米朝首脳会談に関して、世界中がこれに注目して、問題の前進に繋がることが期待されると説明した。テオ副首相からは、今回の米朝首脳会談がスムーズに進むよう調整を進めていることが説明された。

■日仏、防衛装備の共同研究に期待感

 フランスのフロランス・パルリ軍事大臣との日仏防衛相会談では、海上自衛隊のP-1哨戒機が、ランビウエ海軍基地に寄航したことに言及。部隊間交流を歓迎し、さらに初の共同研究となる次世代機雷探知技術に関する協力の早期開始を確認した。また、更なる防衛装備・技術協力について議論していくことを含め、引き続き、防衛装備・技術協力を含む様々な面で協力を深化させていく考えで一致した。

■日越、協力進展を歓迎

 ベトナムのゴー・スアン・リック国防大臣と日越防衛相会談では、両国の協力関係は安全保障分野だけでなく進展していることを歓迎。リック大臣から4月に署名した「防衛関係に関する共同ビジョン」に基づいて、両国の防衛協力・交流を一層進展させたい意向が示された。

※写真=小野寺大臣は、マティス米国防長官、ソン・ヨンム韓国国防部長官との三国間会談に臨んだ(提供:防衛省)