2019.11.14

WING

装備庁の高速滑空弾開発、25年度には部隊配備へ

性能向上型の長射程化「Wave-rider」形状採用

 防衛装備庁は11月13日、「技術シンポジウム2019」のなかで、防衛省・自衛隊が獲得を急ぐスタンド・オフ能力の1つ「島しょ防衛用高速滑空弾」の開発状況や展望などを発表した。長官官房装備開発官(統合装備担当)付高高度超音速飛翔体システム研究室長の福田浩一防衛技官は、早期装備型のBlock.1について、2025(令和7)年度には「部隊配備できるかたちのものを造り上げる」と説明。さらに、性能向上型Block.2では、弾頭を「Wave-rider」という特異な形状を完成させて、撃墜率の極小化および長射程化を推進する考えだ。
 防衛省・自衛隊は、島しょ部をはじめ日本への侵攻を試みる艦艇や上陸部隊などに対し、自衛隊員の安全を確保しながら侵攻を効果的に阻止するため、脅威圏外からの対処と高い残存性を両立するスタンド・オフ防衛能力を求めているところ。この高速滑空弾は、スタンド・オフ能力を有する国産初の装備として、防衛装備庁が研究開発を行っている。また防衛計画の大綱(30大綱)では、高速滑空弾を配備した2個の高速滑空弾大隊部隊の編成が示されたところ。同開発は、研究開発装備が部隊を編成する初めての事業であり、確実な成功が求められるものとなっている。
 高速滑空弾の開発は、早期装備型Block.1と、性能向上型Block.2と2段階に分かれている。Block.1は従来の技術の応用として、滑空弾頭に翼を付けたかたちで、開発を進めている。Block.2は特異な形状の弾頭で、性能が向上したもの。加速用のロケットモーターは、共通のものとして計画している。Block.1の開発は、2018(平成30)年から始まり、2025(令和7)年の部隊配備を目指す。起動装置についても、同時期に完成する計画。
 この2段階とした特徴は、装備化までの期間を短縮するため。さらに、運用者である自衛隊などの意見を反映するため、試作品を運用者の評価に供することができる運用実証型研究として進めている。運用に関する検討と、技術的な検討を同時に実施していく。理由は、新しい装備品であり、装備の内容・目的・運用方法などが確定していないため。ニーズと技術シーズのコンセンサスを取りつつ、完成を目指していくという。

 

高高度飛翔と高度変化で撃墜確率極小化

 

発生する衝撃波に乗る弾頭、大きな揚力発生

 

※図=高速滑空弾のイメージ(提供:ATLA)