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海自の新たな哨戒艦に「さくら」「たちばな」
平時任務の抜本的効率化、30人で運航可能に
令和5年度計画哨戒艦の命名・進水式は11月13日、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)の磯子工場で行われ、1番艦には「さくら(艦番号901)」、2番艦には「たちばな(艦番号902)」と命名され、1番艦と2番艦が同時に進水した。海上自衛隊にとって、哨戒艦はこれまでにない新たな艦種で、主に平時の警戒監視の任務に就いて、護衛艦(DD)が担っていた任務の負担を軽減する。今年度末に海自が計画する組織改編で新設する「哨戒防備群(仮称)」への配備を計画しており、日本周辺海域の海上警戒体制が大きな転換点を迎えることになる。
哨戒艦の整備は、23年度予算で計上されており、1番艦から4番艦まで約357億円で建造が始まった。今回進水した「さくら」と「たちばな」はこれから装備の艤装が進められることになり、「さくら」の完了が27年1月に、「たちばな」が同年2月になる予定。さらには3・4番艦も磯子工場で建造中で、今年度中にも進水式を行うことになる。
哨戒艦の英語名は「Offshore Patrol Vessel(OPV)」。この艦艇によって、海自が長年抱えてきた“平時任務の増大と護衛艦の負担過多”の課題に対する解決策として導入が決定した。
日本の周辺海域における中国およびロシア艦艇による活動は激しく変化し、日々烈度が増してきている。海自では常続的な警戒監視や、対領海侵犯対応に加え、周辺海域のプレゼンス維持など、普段から行うべき任務が膨張している状況。こうした任務には、これまで高度な戦闘能力を備える護衛艦(DD)が担ってきたが、そのまま続ければ、人員・整備・予算負担の増大に加え、人員なども本来の即応態勢に支障を来すようになってしまう。そこで新たな哨戒艦では、運用・整備コストを大幅に低減した艦艇として設計し、平時の警戒監視任務に就く。
※写真1=海自にとって新たな艦種である哨戒艦の手前側が1番艦の「さくら」、奥側が2番艦の「たちばな」
