2019.10.01

WING

JAXA、極超音速小型実験機の風洞試験を2月頃実施へ

機体・エンジン統合でマッハ4飛行時性能取得

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、小型の極超音速機の飛行実証実施に向けて、今年度中に風洞実験を実施する方針にあることが分かった。この風洞試験では機体に極超音速エンジンを搭載し、水素燃料を供給して高温の燃焼ガスを吹き出すなど、実際にマッハ数4で飛行している際の性能を取得することが目的だ。実験は来年2月頃を目処に、角田宇宙センター(宮城県)にある大型の極超音速風洞を使って、機体とエンジンの統合した性能を取得する計画だ。
 太平洋を2時間で横断する---。いずれはそのような時代が到来するかもしれない。現在、10時間以上のフライトで太平洋を横断しているフライトが、マッハ数5もの極超音速飛行によってわずか2時間で結ばれてしまえば、米国への日帰り観光という世界も実現する。もちろん、米国で行われる会議に参加するための出張も、日帰り圏内だ。
 航空機は「より速く、遠くに」という理想の下、その技術開発が進められてきた。1950年代にジェットエンジンを搭載した旅客機が登場して以降、実は旅客機の高速化は進んでいない。50年代以降、高性能なエンジンを搭載した新型機が続々と世に送り出されてきたものの、蓋をあけてみれば、そのスピードに変わりはない。例えば1957年12月に初飛行に成功したボーイング707型機の巡航速度は時速973km。707型機と同じジェット旅客機第1世代に属するダグラスDC-8も高速巡航速度ベースで時速898kmを記録するなど、現在飛行中の航空機達となんら変わらぬスピード性能を有している。
 そうしたなか「より速く、遠くへ」という利用者ニーズを汲み取った機体がコンコルドだった。英仏共同開発となった同機は1969年3月2日に初飛行に成功し、1976年1月21日の運用開始以降、全機が退役する2003年11月26日まで、大西洋を横断する超音速旅客機として空に君臨した。

 

※画像=極超音速旅客機で太平洋を2時間ほどで結ぶ世界が到来するか。水素燃料を使った極超音速エンジンと機体を統合した風洞試験が来年2月頃にも実施される予定だ(提供:JAXA)

※写真=過去に実施した予冷ターボジェットエンジンの総合燃焼実験の様子(提供:JAXA)