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2019.08.23

WING

ボーイング、空軍よりA-10交換用主翼製造に継続指名 

最大112機分の製造に向け、まず27機分を受注

 ボーイングは8月21日(米テキサス州時間)、競争入札により米空軍から受注した上限価格9億9900万ドルの納期・数量未確定契約に基づき、A-10サンダーボルトII攻撃機の交換用主翼製造を継続することになったと発表した。同社は最大で112機分の主翼とスペアキットの生産を管理する責任を負うことになった。米空軍は契約指名後、ただちに27機分の主翼を発注した。ボーイングは以前の契約により、A-10の交換用主翼アセンブリー173機分を、空軍に納入済み。
 ボーイングはこのほど、KAI(韓国航空宇宙工業)とその他主要サプライヤーとチームを組んで最初の主翼セットを、米空軍が主翼交換作業(rewing)を実施してきたユタ州オグデンのヒル空軍基地に納入した。
 

 

米空軍、173機のA-10主翼換装を完了
2030年代後半まで運用期間延長へ

 

 米空軍は去る8月14日、改良型主翼に換装した173機目のA-10攻撃機が7月25日にヒル空軍基地で試験飛行を完了し、A-10主翼換装計画の第1次分が完了したと発表した。173機の主翼換装作業のうち11機分は韓国の烏山で実施され、残りの162機分はヒル空軍基地内のオグデン航空後方支援複合施設で実施されたという。空軍によると、主翼の換装によりA-10は2030年代後半まで飛行を続けられるという。
 そもそもA-10はフェアチャイルド・リパブリック社が開発し、285機を生産したが、その後に同社が廃業し、空軍自ら維持して来た。空軍ではA-10の後継はF-35A戦闘機とする考えであったが、米議会に根強いA-10運用継続議員が多く、退役を許さず維持のため主翼の換装を要求、172機分の換装が決まり、2011年度より換装を開始し、この分の換装が2019年に完了した。残り112機分については飛行停止、退役の可能性もあったが、今回、ボーイングが全機換装に向けて残りの交換用主翼の製造者に指名され、徐々に予算化して行くことになったもの。
 ただし、ボーイングは改良型主翼キットを納入するもので、機体全体の維持を請け負うものではない。主翼の換装を行う空軍のオグデン航空廠では胴体部品の不足に悩み、共食い部品の使用も行われているという。

 

※写真=新しい主翼に交換が終わった173機目のA-10。去る7月25日にヒル空軍基地で試験飛行が完了した(提供:米空軍)

※写真=オグデンでの主翼交換作業の様子。当初の主翼より厚くなっているという(提供:米空軍)