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2019.07.05

WING

エンブラエルが「E3」でターボプロップ参画可能性も

スラッタリーCEO否定せず、エンジンや素材など開発余地あり

 ターボプロップ型の旅客機市場は、今やフランスのATRの独壇場だ。ATR最大のライバルであったボンバルディアが「Qシリーズ」を手放したことで、新造機を生産して世界市場に販売を展開している主要なメーカーはATRのみとなった。ATRにとっては笑いが止まらないところであろう。一方で以前から囁かれてきたが、エンブラエルが「E3」でターボプロップ旅客機を開発可能性がある。先ごろ開かれたパリエアショーでも、エンブラエル民間航空機部門のジョン・スラッタリー最高経営責任者(CEO)は、「E3として開発する機体の可能性は様々」とコメントするなど、以前として否定はしなかった。
 ターボプロップ市場ではボンバルディアが退場し、ボンバルディアの「Q400」はロングビュー・アビエーション・キャピタル傘下のデ・ハビランド・エアクラフト(旧:ロングビュー・アビエーション)へと継承。事実上、ATRがターボプロップ市場を独占することに成功している。この独走を続けるATRに「待った」をかけることになるかもしれないのが、エンブラエルだ。
 三菱航空機の最大のライバルとしてリージョナル機市場に君臨するエンブラエルは、「E3」としてターボプロップ機を開発する可能性があるとこれまでも含みを持たせてきたが、今回のエアショーでも、スラッタリーCEOは様々な選択肢があることに言及。エアバスやボーイングと競合する機体クラスへの参入には否定的な見解を示す一方、既存のターボプロップ機については、エンジンや材料などの観点で技術的に開発余地があることに言及しており、ターボプロップ機としての「E3」開発の可能性の道は、未だ残されているようだ。

 

ターボプロップ市場は20年間で3130機

 

仏ATRが君臨するターボプロップ市場
STOL機投入で市場攻勢強める

 

※写真=ターボプロップ機市場を席巻するATR。日本の空にも導入が進む。独走するATRの前にエンブラエルが立ちふさがるのか。写真は天草エアラインズのATR42-600型機