2020.07.27

国内旅行から国際往来へ

 グアムが7月からの海外旅行者の受入れを延期したのに続いて、ハワイも8月から表明していた海外旅行者の受入れを8月末まで延期した。
 東京都の感染者拡大で、国内旅行の「Go To トラベル事業」は東京発着が対象から除外されたが、海外旅行、訪日旅行の再開時期も先が見通せない状況が続いている。
 田端浩観光庁長官は、7月20日の退任前の会見で、「感染症拡大防止と観光振興の両立を図りながら、安心して旅行をしてもらうという環境の整備に取り組んで行く」と述べているが、「Withコロナ」の時代にあって、国内・海外・訪日旅行の全てにこのことが当てはまる。
 事業者がガイドライン、旅行者が旅のエチケットを参考に感染防止に努め、「Go To トラベル事業」が粛々と展開することを望む。とくに、除外された東京については、赤羽国土交通大臣が断腸の思いとして、感染者が落ち着いてくれば対象に組み入れることを明言しており、接待を伴う飲食店やクラスター対策を強化することなどによって、東京発着が対象となることを期待する。
 「Go To トラベル事業」から東京発着が対象から除外されたことで、旅行自体が敬遠されることは何としても避けなければならない。
 西村康稔経済再生担当大臣は会見で、「感染防止と経済社会活動を両立させていくために、今回は当面の間、東京を対象外とするが、家族で旅行したりすることまで否定をしているわけではない」と珍しく語気を強めた。その上で、「新しい生活様式や新たな日常の中で、感染防止と経済社会活動の両立を図りながら、Go To トラベル事業で新しい旅のあり方を周知展開していく方針を示した。
 これは、海外旅行も同様だ。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、ビジネス、観光で海外に渡航する際に、相手国にはPCR検査による陰性証明書がなければ受入れられない国もあり、PCR検査を拡充することで、海外渡航が円滑に進むことをメリットとして指摘し、PCR検査を拡充していくことにコンセンサスを得たと語った。
 これを受けて、経団連は「新型コロナウイルス感染症と両立する経済活動の再加速に向けて」と題する提言をまとめ、「国境を越えた人の往来は、わが国経済の生命線であり、経済と感染拡大防止との両立を目指して、国同士の連携を図りながら、早期に出入国を再開していくことが求められる」とし、政府に対して出入国制限の早期緩和を求めた。
 とくに、国境を越える移動には、「陰性証明書等により出入国者が罹患者でないと確認すること、入国者の行動や健康状態を一定期間フォローすることなどが前提条件になる」との見解を示し、海外渡航者が新型コロナウイルスの陰性証明書を持って海外渡航し、帰国後も14日間隔離を免除される出入国審査の早期体制整備を要望した。
 欧州の各国が日本から自国への渡航を認めても、日本のPCR検査が拡充されて、出国72時間以内のPCR検査陰性証明書をパスポートとともに提示することができなければ欧州へ行くことは難しい。
 欧州だけでなく、今回はグアム、ハワイの海外渡航が延期されたが、時期はともかくとして、いずれは海外旅行の扉が開く。その時に海外旅行へ行くために、PCR検査の拡充は絶対条件となろう。
 経団連が指摘する2020年のGDP成長率が前年比5.8%減の見込みであり、既に、コロナ対策に230兆円超の事業費を予算化したことで、日本の国家財政が厳しい局面に立たされていることを指摘した。「次に感染拡大が大規模化し、広範な休業や外出自粛等が再度要請される事態となれば、わが国経済は致命的な損害を被る」という警告が重い。国民の生命、生活、経済、雇用を守るためにも、国内旅行、国際往来を進めていくことを理解してほしい。(石原)