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2023.02.06

ルートの拡張性を高める

ヨーロッパ全域をつなぐ旅

 

 

 「ランドクルーズ」新商品の最大の特長について鈴木氏は、「ルートの拡張性とフレキシビリティ」を挙げる。2019年度に誕生した「ランドクルーズ」は、コロナ禍の一時中断を経て、2022年度から運行を再開したが、ルート同士はつながっておらず、いわば局地的な運行にとどまっていた。
 2023年度からの新商品については、「原点に立ち返り、拡張性に焦点を当て、列車も使いながら、英国を含めてヨーロッパ全域をつなぐ形でランドクルーズを運行する」。
 それによって「全てを組み合わせるとヨーロッパ全域を1つのデスティネーションとして楽しめる。一方で、1つ1つのデスティネーションを切り取っても旅行を楽しめるように運行ルートを工夫した」。
 実際、2023年度の「ランドクルーズ」は、全てのルートの運行日を調整してタイムテーブルを組んでおり、バスを乗り継ぐことでヨーロッパ全域を旅行できる。
 企画担当の石田氏は、「1つのコースだけでなく、他のコースとの兼ね合いを全て考えながら、ルートや運行日を調整していった。1つのコースが1日ずれれば全部ずれていく。そのため、ルートの設計は相当綿密に行った」と振り返る。観光箇所のオープンクローズにも配慮しながら主要な観光地を見学してもらえるよう綿密なルート設計を行っていった。その結果、「EMV社のノウハウやインフラをうまく取り入れつつ、日本のお客様へ十分に訴求が可能な“日本仕様”の商品を用意できた」と自信を示した。

 

※写真=新生ランドクルーズの出発日は3000日以上。新商品の主なポイントと運行ルート

 

 

 最大の強みは「1名出発保証」
 全ルートが1日単位で購入可能

 

 

 「ランドクルーズ」の最大の強みは、ヨーロッパを周遊するバス旅行ながら、全コースが「1名出発保証」という催行の確実性だ。コロナ禍前は2名催行保証の添乗員同行のヨーロッパパッケージツアーも多く販売されていたが、コロナで商品数は減少。今後は2名催行保証も減ることが予想される。その点、「ランドクルーズ」なら1名でも出発が確定するため、「販売店にとっても手離れが良く、メリットは大きい」(鈴木氏)。
 また、コース数はウェブ上で約130コース、「ランドクルーズ」のパンフレットでは110コースを用意。旅行期間は3日間から18日間まで幅広いが、全コースが「最短1日」から参加可能だ。「地図上にある動線なら1日単位でどこでも買える」(鈴木氏)として、FIT化が進む中、素材を1日単位で購入できるのは強みだとした。
 また、「ランドクルーズ」の各コースを組み合わせて自分好みの周遊コースを作ることも可能だ。そのフレキシビリティはこれまでのパッケージツアーにない特長といえるだろう。
 「ランドクルーズ」の全110コースは、これまで日本で販売されていたヨーロッパツアーと同様に、見どころを押さえたコースが設定されている。個人で購入する以外にも旅行各社で「ランドクルーズ」を自社ブランド商品に組み込み、往復航空券をセットにしたパッケージツアーとして販売することも可能だ。

 

※写真=スペインの断崖絶壁の上に建つ白い村、ロンダ(画像提供:ヨーロッパムンドバケーションズ)

 

 

 「毎日が出発日」の新商品
 いつどの都市からも参加可能

 

 

 そして、2023年度の新商品で新たに導入されたのが「ロータリー」だ。これは、イタリアやスペインなどの人気周遊ルートをバスが1週間単位でぐるぐると回遊して運行することで、いつでもどの都市からでも参加できるという「毎日が出発日」を実現した画期的な商品だ。
 具体的には、イタリアでは「ロータリー」の対象コースとして、「ミラノ発 人気のイタリア4都市周遊 ベネチア・ローマ・フィレンツェ・ミラノ8日間」(ランドクルーズパンフレットP16掲載コース)を商品化した。
 これはミラノ、ベネチア、ローマ、フィレンツェというイタリアの人気4都市を巡るコース。パンフレット上では週1日(水曜日出発)の出発日が設定されているが、それはミラノを始点としたあくまで基本コースの出発日。出発日と出発地を変えれば、毎日出発が可能となる。
 例えば基本コースはミラノが始発だが、1日遅れてベネチアから旅行をスタートし、ミラノで旅行を終えることも可能。同様に、ローマやフィレンツェから旅行を始めることも可能だ。また、ルートを1周せずに、一部区間だけに部分参加することもできる。
 つまり、パンフレットに記載がない出発日でも、バスの運行ルートに合わせて、出発日、出発地を自由に選べる商品となっている。

 

※写真=旅行者で賑わうローマのスペイン階段(画像提供:ヨーロッパムンドバケーションズ)

 

 

 スペイン周遊8日間も
 カスタマイズで毎日出発可能

 

 

 スペインでは「ロータリー」の対象コースとして、「マドリード発 スペイン周遊マドリード・バルセロナとアンダルシア地方〈高速鉄道AVE利用〉8日間」(ランドクルーズパンフレットP26掲載コース)を商品化した。
 基本コースはマドリードを始発として、バルセロナやアンダルシア地方の見どころを巡る。宿泊地はマドリード、バルセロナ、バレンシア、グラナダ、セビリアで、高速鉄道AVEを使ってマドリードに戻るコースとなる。
 このコースは個人では足を伸ばしにくいスペインの魅力的な観光地がぎゅっと詰まったコースとなっている。モンセラットでは奇岩群と岩の割れ目に建つ11世紀建立のベネディクト派修道院に入場。地中海に面した美しい村として知られるペニスコラ城や、グラナダではヘネラリーフェ庭園などを観光。マラガの旧市街や高級リゾート地のマルベーリャの散策などを盛り込んだ。
 このコースもパンフレット上では週1日(水曜日出発)の出発日が設定されているが、出発日や出発地を自由に選んで「毎日出発可能」なコースとして提案できる。「出発日が合わない」、「別の都市から参加したい」–。そんな多様な顧客の要望に柔軟に応えられる新商品として「ロータリー」を活用してほしい考えだ。

 

※写真=バルセロナの街が一望できるグエル公園(画像提供:ヨーロッパムンドバケーションズ)

 

※写真=モンセラットの奇岩と修道院(画像提供:ヨーロッパムンドバケーションズ)

 

 

 

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