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2022.12.30

航空会社レポート その1【日本航空】

ニーズの変化に合わせ、多様な選択肢を提供
今までと違ったハワイのプロモーションを

日本航空(JAL)旅客販売推進部
国際線企画グループ統括マネジャー
杉本 一走 氏

 

いち早く供給を回復
ホノルルマラソン契機に需要回復

 現在、JALは羽田−ホノルル線を毎日2便、成田−ホノルル線を毎日1便、加えて関西−ホノルル線と中部−ホノルル線をそれぞれ週1便程度、また成田−コナ線を、ピークシーズンを中心に季節運航する体制をとっている。杉本氏は「いち早くハワイ路線の供給を回復している」と語る。
 需要については、コロナ前の2019年度比で第1四半期(4~6月)は10%、第2四半期(7~9月)は20%、第3四半期(10~12月)は30%程度といった状況。
 徐々に需要は戻ってきており、「12月中旬のホノルルマラソンや年末年始は臨時便を運航、搭乗率は8~9割に達しており、通常期と比べ+20%以上需要が盛り上がっている」という。JALでは、協賛するホノルルマラソンを契機に、年末年始や春休みのハワイへの旅行需要を盛り上げていきたい考え。
 一方、傾向としては、ビジネスクラス利用の増加が顕著で、「ビジネスクラスから予約が埋まる傾向は、コロナ前から比較的見られていたが、コナ線も含め、さらにその動きは顕著になっている」とのこと。また、タイムシェア利用層が増え、平均滞在日数が伸び、一方で「4泊6日や3泊5日のパッケージツアー利用層はまだまだ少ない。円安傾向もあり、余裕のある方からの渡航が顕著だ」とのことだ。

年末年始にはファーストクラス(写真)を搭載した機材をハワイ線に投入。需要動向に柔軟に対応する

 

 

いかに搭乗率を上げていくか
多様な選択肢で多様なニーズに対応

 今後の展開としては、まずは「2022年下期から既に進めているが、供給をいち早く戻していきたい」と説明。3月には成田−コナ線を週3便で運航する予定のほか、関西、中部の便も追加便を設定するなど対応。供給を戻した上で、「いかに搭乗率を上げていくか」が今後の課題となる。
 JALでは、グループ会社のZIPAIRを含め、「JALグループとして、さまざまなニーズに応えていく」方針。例えば、羽田便は「毎日2便のうち1便が首都圏のマーケット、もう1便が日本各地からの乗り継ぎ需要に便利なスケジュールとなっている」とのこと。また成田便は「団体旅行や修学旅行などに対応できる便」と位置づける。
 杉本氏は、「これまでのジャンボ機による大量送客からニーズが変わってきている。いろいろな選択肢を用意し、幅広いお客様に対応していきたい」と語る。

 

「マラマハワイ」で新たな観光需要を創出
パッケージツアーの需要をベースに

 旅行会社との協力関係も重要だ。杉本氏は「コロナ禍の約2年間、旅行会社の皆さまとは商品造成を含め、水面下で復活の際の商品を用意していた」と説明。
 観光局が進める「マラマハワイ」においては、「いかに打ち出していくか、航空会社単体では難しい部分があり、旅行会社の皆さまと一緒になって、新たな観光需要を創り出していきたい。手探りとはなるが、トライ&エラーを重ねながら、小規模な商品でもチャレンジしていきたい」と、前向きな姿勢を見せる。
 「マラマハワイ」にマッチした具体的な商品展開はこれからとなるが、まずは「普通の旅行を復活させていきたい。安心して戻ってきていただける下地を整えたい」とのこと。従来のパッケージツアーも大事にしながら、旅行会社と一緒に新
たな旅行商品を創出していく、というスタンスだ。
 杉本氏は「まずは国内の旅行需要が戻っており、旅行への機運を盛り上げながら、今後は海外旅行に目を向けていただける仕掛けを打っていきたい。その上で持続可能な観光需要の創出を考えていきたい」と語る。
 また「旅行会社のそれぞれの強み、特徴を活かした展開をしたい。今後、需要の回復が見えるなかで商品のラインナップを増やしつつ、それぞれの強みを一緒に伸ばしていきたい」と述べ、旅行会社との協業を重視する意向を示した。

 

「マラマハワイ」が新しいハワイの魅力に
マラソンなどイベント通じ、地元に貢献

 「マラマハワイ」に関連した活動としては、現地支店がビーチクリーンに参加するほか、機内で観光局の「マラマハワイ」の動画を放映し、ハワイでの持続可能な行動の啓蒙をサポート。杉本氏は「ハワイで提唱する新しい観光のあり方を、お客さまに伝える役割を担っている。これまでと違ったハワイのプロモーションを打ち出したい」と語る。
 ホノルルマラソンやホノルルハーフマラソン・パパルア、ホノルルセンチュリーライドといったスポーツイベントへの協賛を通じた地元への貢献も大きな取り組みのひとつだ。実際にホノルルを走ることで、「ハワイの自然を感じていただける貴重なタイミング」となることからも、こうしたスポーツイベントは、ハワイの自然、環境の大切さを実感できるイベントとして大きな意義がある。

2022 © HM-A Honolulu Marathon
ホノルルマラソンなどの現地スポーツイベントに協賛(イメージ)

 

※インタビューは2022年10月28日に行いました。

 

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