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防衛力強化の有識者会議、戦略装備導入など提言

次世代VLS搭載潜水艦や大胆な組織改編の必要性指摘
「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議(榊原定征座長)」は9月19日、防衛政策の強化に向けたこれまでの議論を取りまとめ、報告書を中谷元防衛大臣へ手渡した。この報告書では、戦後最も厳しいとされる安全保障環境に対応するため、防衛力の抜本的強化をより推進させる必要性を強調。装備品調達の高度化と、組織再編や戦力構成の変革を求めた。さらに防衛産業強化のため、技術開発や防衛装備移転の拡大推進を訴えた。そのほかにも、防衛力強化と経済成長の好循環を創出する目標値の設定などを提言し、戦略装備の導入や資金調達の新枠組みなどにより、持続的な抑止力を確保することを求めた。
報告書の提言には、これまでの方針に沿ったものも多いが、従来の論調では見られなかった、より踏み込んだ提案も含まれる。その中で注目されるのは、戦略装備導入の具体例としてVLS(垂直発射装置)搭載潜水艦の整備が盛り込まれたこと。長射程スタンド・オフミサイルを搭載させ、隠密性と持続展開力を両立して従来にない抑止力を発揮する。次世代動力の導入や長期潜航能力の強化も検討課題としており、全固体電池や、水素と酸素による燃料電池をエネルギーとした新技術の採用を検討することと併せて、原子力も排除しないかたちで検討の必要性を訴えた。