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2025.09.11

WING

JAL、宇宙分野開拓向けた取り組み加速

 航空輸送の知見を応用し、成層圏から月面まで

 日本航空(JAL)が、宇宙事業分野開拓に向けた取り組みを本格化している。航空輸送で培った運航・整備・安全管理のノウハウを活用しながら、JALの技術が生かしやすい高度50キロメートルまでの成層圏におけるサービスから、高度100~400キロメートルの準軌道・低軌道、さらに月面輸送まで段階的に関与領域の「高度を上げていく」(JAL事業開発部宇宙グループ・東島誠グループ長)戦略だ。すでにJALグループとして、成層圏気球のサービス開発やロケット・月面ランダー開発ベンチャーへの出資など、多角的な方策を進めている。地上と宇宙を架橋する新領域を切り拓く動きは、今後の事業多角化や国際的な宇宙輸送市場でのプレゼンス確立につながると期待される。
 近年、宇宙産業は世界的な市場拡大を見せている。米国ではスペースXを筆頭に商業宇宙輸送が急速に進展し、日本でも宇宙基本計画や官民協議会を通じて、民間参画を促す政策が加速。輸送・観光・資源開発を含む幅広い需要が想定されるなか、大手航空会社も既存の強みを活かし新分野開拓に向けた動きを見せている。JALは「航空で培った安全・運航の知見をより遠くへ伸ばす」考えで、宇宙事業をグループ横断で推進している。