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2025.08.25

WING

丸紅、利益伸ばす航空アセット、中古市場で続く高止まり

 戦略プラットフォーム型事業として航空・宇宙の発展へ

 丸紅の航空宇宙部の中村仁部長は、航空・宇宙・防衛の取組みの中でも航空アセット領域が最も利益を出している理由として、新造機のサプライチェーンが打撃を受けたことで中古部品のパーツアウト市場が改めて注目され、高止まり状態が続いていることを挙げた。エアラインは常にコスト競争を重視しており、整備コストを抑えるための中古部品の利用は、もはや自然の流れといえる。新造機を主力としているエアラインでも、稼働率確保、整備費削減のために中古部品を利用する潮流となりつつあり、この市場は今後もさらに伸びていく見込みだ。
 しかしながら、現状として新造機の引き渡しが遅れていることなどによって、機材をより長期間使用する方向へシフトしているため、手に入れたいパーツアウト用の退役機が出回りにくい状況となってしまった。また、世界的にこの市場への参入が増えているため、中古市場は調達競争の様相も表れている。
 そこで丸紅グループでは、リース期間が数年残っている機体でも、いわゆる青田買いを行って、パーツアウト用資産の確保に努めている。従来はリース付きの機体は取り扱ってこなかったが、リース期間が残っている機体に目を付けなければ、もはや資産の確保は難しい。供給が少なくなった中古市場で資産の取得に全力で取り組むことで、供給できる体制を確保しているということだ。
 丸紅では組織改編によって、15本部あった組織を10部門にまとめ、航空宇宙防衛、船舶、建設機械と自動車事業が合わさり、エアロスペース・モビリティ部門として新たにスタートさせた。新しい部門となっても“エアロスペース”の名を冠するように、航空宇宙関連事業の人員をさらに増員し、戦略プラットフォーム型事業として位置付けて力を入れる。中村部長は今年4月から現職に就き、航空・宇宙・防衛の各事業を束ねている。

※画像=Magellan社の倉庫(提供:丸紅)

※この記事の概要
無人化・省人化に注力する防衛領域
 新たな輸送サービスの提供に期待
D-Orbit、宇宙インフラ造る知見拡大
 事業化したラストワンマイルで黒字目指す
29年度までにエアモビリティ運航事業化
グラハン人員、需要拡大へ応じられるように  など