ウイングトラベル
★JATA髙橋会長、海外旅行復活へ2つの方向性提示

定期総会開催、持続可能な未来へ向けた施策を提言
日本旅行業協会(JATA)は6月18日、東京・大手町の経団連会館で第69回定時総会を開催した。総会では、2024年度事業報告と収支決算、2024年度会費未納に伴う正会員除名、役員選任を審議し原案通り承認された。さらに2025年度の事業計画および収支予算について報告を行った。髙橋広行会長は、海外旅行の回復、国内・訪日旅行のさらなる拡大に向け、制度改正や支援策を国や自治体に働きかけるとともに、業界の自助努力の重要性を強調。公正な市場づくり、コンプライアンスの徹底、人材育成など、課題解決に向けた積極的な取り組みを表明した。
※写真=JATA通常総会の模様
国や自治体への積極的な働きかけと自助努力が必須
コンプライアンスの徹底で旅行業の信頼を確立
開会に先立ち挨拶を行った髙橋広行会長は、過去最高を記録している訪日インバウンド需要の影響で旅行業界が活況を呈している一方、課題は海外旅行の復活にあると述べた。
そのうえで、「世界的な物価高や円安基調など外的環境の影響により海外旅行の復活は難航しているが、JATAとしては二つの方向性をもって取り組んでいる」とし、「社会的意義を伴った制度改正や支援策について国や自治体への積極的な働きかけ」と「自助努力」の両輪で推進する重要性を強調した。
海外旅行に関する国や自治体への働きかけとしては、第5次観光立国推進基本計画の策定に向け、JATAとして提言書を作成。基本計画への反映を目指して関係各所に説明を行っており、すでに国会議員や観光庁、国土交通省、外務省、文部科学省などへの働きかけを進めていることを説明した。
提言書では、海外渡航者数の拡大と均衡の取れた双方向交流を最重要テーマに掲げ、パスポート申請手数料の抜本的見直しなど、具体的施策を提示。さらに、若者の国際交流の一環として、国際教育の必修化も提案しており、高校卒業までに海外旅行や語学研修、国内での国際交流体験を実施することで、未来の国際人の育成と日本の競争力向上を目指す内容となっている。
アウトバウンド促進に関しては、JATAが展開する海外旅行推進プロジェクト「もっと!海外へ」の一環として、岩田剛典さんを海外旅行アンバサダーに起用し、海外旅行の魅力発信を強化。髙橋会長は「JATAの公式ページで公開中の動画は50万回再生を達成。岩田さんは強力なインフルエンサーであり、動画は会員であれば無償で利用可能。今後のプロモーションにぜひ活用してほしい」と語った。
国内旅行については、平日旅行の促進による分散化と総需要の拡大をテーマに、JATA、ANTA、日観振の三団体が共同で各都道府県知事宛に要望書を提出。すでに導入済みの愛知県、熊本県、茨城県、山梨県に加え、徳島県や沖縄県でも導入が具体化している。
また、「平日に泊まろう!キャンペーン」や、「ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸」における「休み方改革」シンポジウムの開催も予定している。髙橋会長は「このような取り組みが、日本人の休み方改革につながる」と述べた。
訪日旅行については、白バス、白タク、客室転売といった違法・不正行為の撲滅を掲げ、公正な競争と市場環境の健全化を目指すとともに、アドベンチャートラベルなど高付加価値商品の提案も行っている。
髙橋会長は、「訪日インバウンド旅行は拡大しているが、JATA会員との関わりが少ない。これを改善するため、訪日マニュアルの改定など、会員各社が参入しやすい環境整備を検討している」と語った。訪日旅行者の地方分散と送客を進めていくことが、JATAの使命であるとの考えを示した。