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2023.03.01

WING

JAXA、新たな宇宙飛行士候補者2名を選抜

 月や有人宇宙時代を担う新たな宇宙飛行士に

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月28日、あらたな宇宙飛行士候補者として、諏訪理さん(すわ・まこと、46歳)と米田あゆさん(よねだ・あゆ、28歳)の2名を選抜したことを発表した。諏訪さんは歴代最年長での選出となった一方、米田さんは最年少タイでの選出となった。
両名は4月1日付でJAXAに入社し、オリエンテーション実施後、約2年間の基礎訓練を通じて必要な科学・技術の知識、さらには国際宇宙ステーション(ISS)および「きぼう」日本実験棟や国際宇宙探査などに係る知識・技量を修得。それらの基礎訓練の結果を評価して、正式にJAXA宇宙飛行士に認定されることになる。
 JAXAは2022年4月から宇宙飛行士絵候補者の選抜を行ってきた。あらたな宇宙飛行士の選抜は約13年ぶりのことで、今回の選考は理系に限らず、文系にも門戸を開放。専門分野や職歴などで縛ることなく、広く優秀な人材を募ったことなどで、多くの人々が宇宙飛行士になるチャンスに応募した。さらに、月面探査など、有人宇宙がいよいよ拡大する時代を担う宇宙飛行士世代となることもあり、大きな注目を集めた。
 その結果、応募総数は実に4127名にも達し、20代以下が811名、30代は1850名、40代の応募が973名、50代が424名、そして60代も69名が応募するなど年齢層も幅広いものとなった。
 この選考レースを勝ち抜いた一人である諏訪さんは、現職の世界銀行上級防災専門官と、これまでのJAXA宇宙飛行士の経歴からみると異色だ。現在、ワシントンDCに在住しており、アフリカの防災、気候変動対策プロジェクトを担当している。2007年6月にプリンストン大学大学院地球科学研究科を修了後、2008年1月から青年海外協力隊としてルワンダに派遣。2010年11月には国際連合の世界気象機関(WMO)に入社し、2014年3月から世界銀行に勤めている。
 もう一人の候補者である米田さんは現在、日本赤十字社医療センターの外科医。手術や病棟業務、救急の対応などにあたる現役医師だ。2019年3月に東京大学医学部医学科を卒業後、同年4月には東京大学医学部付属病院に入職。21年4月から日本赤十字社医療センターに入職し、22年10月に虎ノ門病院に派遣され、現在に至る。
 JAXAの山川理事長は国際宇宙ステーションが2030年まで運用を延長することのほか、月周回拠点「ゲートウェイ」、月面着陸計画「アルテミス計画」などに触れつつ、「他の宇宙飛行士の仲間と共に切磋琢磨し、さまざまなミッションにおいて日本の代表として活躍してくれることを期待している」とコメントした。

※この記事の概要
・宇宙飛行士を目指したルーツとは?
・各自の強み  など