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2023.02.08

WING

第170回「日本が危ない」日本は戦地で何ができるのか

最新戦車投入で変わる戦局
繰り返される大戦前哨戦

 

 米国、ドイツが相次いでウクライナに戦車を供与することを発表した。ロシアによる侵略開始からほぼ1年たったウクライナ戦争は、最新鋭戦車の投入でどのように変わるのか。2月にもウクライナ訪問を検討している首相、岸田文雄は何ができるか。
 「まるでスペイン内戦を見ているかのようだ」
 ドイツ、米国の戦車供与発表報道を読んだある自衛隊幹部はもらした。1936年7月、スペイン人民戦線政府に対し、将軍フランシスコ・フランコが起こした反乱では、フランコ側がナチス・ドイツ、ファシスト政権のイタリアから支援を受け、人民戦線側もソ連から武器を供与され、あたかも新兵器の実験場と化した。39年からの第二次世界大戦の前哨戦ともいえる近代兵器による戦争が展開されたのだった。
 当然のことながら、ロシアは今回の米独の戦車供与に反発しており、駐独ロシア大使セルゲイ・ネチャエフは声明で「この極めて危険な決定は紛争を新たなレベルの対立に導く」と警告した。
 先の自衛隊幹部は「戦争が膠着状態となる可能性もある。第一次世界大戦の時は塹壕戦となり長引いた。同じことが繰り返されるかもしれない」と語る。第一次世界大戦では欧州で4000万人近くが死傷し、経済も大きな打撃を被っただけでなく、1918年にはスペイン風邪の流行もあった。果たして歴史は繰り返すのか。ネチャエフの言うように「新たなレベル」となりさらに激戦となり、ロシアによる核使用の恐れが出てくるのか。あるいは停戦協定の機運が出てくるのか、今のところまったく見通せない。

 

実現するかウクライナ訪問
だだ洩れの情報に不安視

 

 そうした中で、ウクライナ訪問を計画しているのが岸田だ。岸田はG7(先進7ヵ国)の議長国として5月に広島でサミットを開催するにあたり、ウクライナを訪問したいと模索してきた。G7各国の中でウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーと対面で会談していないのは岸田ただ一人であるからだ。1月に欧州を歴訪した際に電撃的にウクライナを訪問するかとみられていたが、結局訪問しなかった。

 

米国がウクライナへの提供を決めたM1エイブラムス戦車(提供:ジェネラル・ダイナミクス)

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