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2023.02.03

WING

ANA第3Q、訪日・国内レジャー追い風に純利益626億円

 第3四半期業績好調、通期業績予想を上方修正

 ANAホールディングが2月2日に発表した第3四半期決算(2022年4月1日~12月31日)によると、期間中の売上高が70.5%増加した1兆2586億円と大幅な増収に。営業費用は公租公課の減免に加え、事業構造改革によるコスト削減を継続したことで、3058億円の増加した1兆1596億円に留めた。その結果、営業利益989億8200万円(前年同期:1158億1700万円の損失)、経常利益923億4900万円(同:1183億4000万円の損失)となり、四半期純利益が626億100万円(同:1028億400万円)の黒字を確保することに成功した。
 新型コロナパンデミックの影響から旅客需要が戻りつつあるなか、ANAグループは売上高を伸長しつつ、コストマネジメントに注力。政府の公租公課減免など、航空業界に対する支援も後押しとなり、業績の回復が進んだ。
 10月に政府の水際対策が緩和されたことにより、国際線の訪日需要が回復しはじめたことなどが追い風となり、旅客数・収入ともに大きく前年を上回って推移。国内線も感染防止と社会経済活動の両立が進み、行動制限が概ね無いなかで、全国旅行支援によってレジャー需要が喚起されたことが奏功した。
 こうした結果、第3四半期の業績が計画を上回ったとして、昨年10月末の中間決算発表時に上方修正した通期業績予想を再度上方修正。売上高は前回(10月31日発表)発表時に比べ100億円上振れした1兆7100億円、営業利益950億円(+300億円)、経常利益850億円(+300億円)、当期純利益600億円(+200億円)を見込む。
 同日、会見に臨んだANAホールディングスの中堀公博上席執行役員(グループCFO)は「需要の回復が堅調になったことが最大の要因だが、公租公課の減免、燃料の補助金など、政府の支援を下支えに、全グループ社員が一丸となって増収・コスト削減に努めた結果で、今回の好決算につながった」と評価した。
  一方で足元ではロシアによるウクライナ侵攻が長引くなど、地政学的リスク、経済の先行き不安が広がっていることから、「ウクライナ情勢が長期化の懸念があるほか、中国路線もビザ発給問題は解決したが、まだまだ供給制限も続いている」と前置きしつつ、「国際線の回復過程において、供給面の制約が続くことが想定されるほか、燃油市況も依然として高水準で推移している」と、さまざまなリスクが未だ散見していることに言及。「そうしたなかでも、生産体制を整えて回復する旅客需要をしっかり取り込み、トップラインを伸ばしていく」と説明した。
 「これまでの2年半は、どちらかといえば需要の減退に応じて如何にコストを削減してマネージメントするかということが主軸だったが、今後のポイントはその取り組みを継続しつつも、如何にトップラインを伸ばしていくことができるのかということが課題」であることにも触れ、来年度以降の更なる業績回復に繋げていく方針だ。

※この記事の概要
 国際線旅客事業、水際緩和で客5倍、収入6倍
 国際旅客需要は年度末に6割まで回復見込む
 国内線旅客事業、旅客収入は88.9%増の3921億円
 LCC事業、収入が152%超像の620億円に

 国内路線増で旅客・収入大幅増、国際線再開も奏功
 航空関連、支援業務や機内食回復で営業利益93.1%増
 旅行事業、需要堅調で売上高53.1%増   など