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2022.12.07

WING

第166回「日本が危ない」微笑みに潜む日本への嘲笑

3年ぶりの会談は上機嫌
微笑み外交の真意とは

 

 バンコクで11月17日に行われた約3年ぶりの日中首脳会談は終始和やかな雰囲気で行われた。14日にインドネシア・バリ島で行われた米中首脳会談で、中国国家主席、習近平は台湾問題について「中国の『核心的利益』の『核心』であり、両国関係において越えてはならない一線だ」と述べ、米国を強く牽制したが、日本の首相、岸田文雄との会談では終始ニコニコしていたという。習の「微笑み外交」の狙いは何なのか――。
 日中首脳会談で、常に日本側が注目するのが習の表情だ。2014年11月、北京で当時の首相、安倍晋三と会談した時の習はまったくの無表情だった。2017年にベトナム・ダナンで会談した時は14年の時よりも穏やかだったがそれでも硬さはあった。2019年6月に大阪で開かれたG20(主要20ヵ国・地域)首脳会議に出席するため日本を訪れた際は打ち解けた表情となった。ここで安倍は2020年の「桜の咲く頃」に習を国賓で招待したいと要請し、習も了承した。
 国賓待遇には保守派を中心に日本国内で激しい反対があった。安倍も対応に苦慮したが、中国・武漢発の新型コロナウイルスの蔓延で延期。日中首脳による対面での会談は19年12月以来、途絶えていた。

 

中国接近の合図は米との対立
緊張緩和に腐心する中国

 

 日中は今年、1972年の国交正常化から50周年を迎えた。9月29日に開かれた記念レセプションで岸田と習は祝電を交換した。岸田は「建設的かつ安定的な日中関係の構築を進めていきたい」と呼びかけ、習も「中日関係の発展を非常に重視している」と応じた。

 

3年ぶりに日中首脳会談が行われた(提供:首相官邸)

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