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2022.04.05

WING

4地域市場、コロナ前の座席供給量上回る水準に

各地で回復顕著も、日中韓ゴールデン・トライアングル回復鈍く
 
 航空業界はいよいよ稼ぎ時の夏期スケジュールがスタートしたが、3月末現在、コロナ禍前の2019年水準を上回る座席供給量を提供している地域の市場は、南アジア、中米、南米北部、そしてアフリカ中西部となっていることが分かった。航空データサービスを提供するOAGが明らかにした。
このうちインド市場が回復を牽引する南アジア地域はコロナ前を9.4%、中米が3.7%、そして南米北部地域は2.4%上回った。コロナ前に比べて最も座席供給量の伸びが大きい地域はアフリカ中西部で、その伸びは実に18.9%にも達した。
 各国政府が新型コロナウイルスとの共生へと政策の舵を取り、各国地域で出入国制限の緩和が進むなか、各地の航空会社が提供する座席供給量の回復が顕著だ。前述したように、すべに一部地域の市場では、コロナ前を上回る座席数が供給されており、航空業界に明るい兆しがみえてきたかたちだ。
 未だコロナ前水準に達しなくても、各地域で力強い回復力がみられている。とりわけ西ヨーロッパ地域の回復力は著しく、2019年同時期の約88%まで回復した。OAGのジョン・グラント氏は「今後数週間で更なる回復が見込まれており、平年と比べて10%未満下回る水準まで回復が進むだろう」と話すなど、今後数週間以内に更なる回復の進展を示唆した。
 また、グラント氏は今年1月以降、回復が著しい国別市場について、「上位20位までのほとんどを欧州諸国が占めている」ことに言及。「ほぼすべてのロックダウン規制が解除されたことに加えて、航空会社各社が夏期スケジュールプログラムに変更したことで、かなりの改善をもたらした」と分析。なかでも英国は41%回復したほか、ギリシャ、ポルトガルの市場回復力も強いことを指摘した。
 欧州以外の市場でも、ベトナムでは過去3カ月間で53%改善したほか、シンガポールでも過去12週間で38%回復がみられたという。
 ただ、一方で、今年1月の第1週と比較して、座席供給量が減少している国が86カ国もあるとのことにも触れた。
 とりわけ厳しいのが北東アジア市場だ。かつて非常に高い収益性を有する市場として「ゴールデン・トライアングル」とさえ言われた日本・中国・韓国の三国市場は回復が鈍い。グラント氏はこれらの市場の回復が鈍いことについて、「中国市場のゼロコロナ政策に起因する」と指摘。中国では上海市のロックダウンが長期化するなど、新型コロナの封じ込め政策が強化されており、その影響が航空会社にも確実に及んでいる様相だ。

 

※写真=回復が進む航空業界。すでに4市場でコロナ前を上回る座席供給量を記録

※グラフ=パンデミック以降の座席供給量の推移(提供:OAG)