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2021.10.06

WING

第138回 日本が危ない 決断すべき敵基地攻撃能力の保持

争い激化する北の大奥
序列無視の参拝の意味は

 

 長引く国境封鎖と深刻な食糧事情に見舞われているにもかかわらず、その一方で行われた閲兵式に、相次ぐミサイルの発射。日本政府高官も首をかしげるのがいまの北朝鮮だ。政権内では権力争いも激化しているといわれる北朝鮮でいま何が起きているのか。
 「北朝鮮では日本でいう『大奥』で争いが起きている」と語るのは長年、北朝鮮情勢を見てきたウオッチャーの分析だ。一人は朝鮮労働党委員長金正恩の妹で党副部長の金与正(ヨジョン)。そして、「与正と対抗して存在感をみせている」(同ウオッチャー)のが、同じく党副部長で、2018年の平昌五輪に合わせて結成された三池淵(サムジヨン)管弦楽団団長だった玄松月(ヒョン・ソンウォル)である。
 金正恩が妹の与正はもちろんのこと、玄松月にも信頼を置いていることを示したのが4月15日に祖父で主席だった金日成の生誕記念日にあたる「太陽節」に遺体が安置されている平壌の「錦繍山太陽宮殿」を少人数だけで参拝した際、同行させたことからもみてとれる。
 朝鮮中央通信は参拝には正恩のほか、夫人の李雪主(リ・ソルジュ)、党書記の趙勇元(チョ・ヨンウォン)、軍総参謀長の朴正天(パク・ジョンチョン)、そして与正と玄松月の5人が同行したと伝えた。夫人と朴正天を除くと、党の序列とは関係なく、最側近の趙と与正と玄松月との3人だけを連れていったことになる。
 金正恩は毎年、重要な局面でこの宮殿を訪れるが、これまでは数十人が同行していた。韓国の通信社、聯合ニュースは「序列と関係なく夫人と最側近3人だけを同行させるのは極めて異例だ」と報じた。実力者の最高人民会議常任委員長の崔竜海(チェ・リョンヘ)、党中央軍事委員会副委員長、李炳哲(リ・ビョンチョル)、首相の金徳訓(キム・ドクフン)も宮殿に参拝はしたものの、金正恩の参拝には同行しなかったという。
 聯合ニュースは金正恩が最側近3人のみを同行させた理由について「最も信頼する特別な関係であることをアピールしたものとみられる。役職が次官級に過ぎない金与正と玄松月の同行は政治的な距離の近さを示す」と分析した。

 

閲兵式で注目の激やせトップ
ミサイル発射の原因は嫉妬?

 

 1月の党大会記念の閲兵式でも、3人は正恩と同じ革のロングコートを着て出席するなど、「特別な側近」であることを内外に示していた。
 先の北朝鮮ウオッチャーは「9月9日未明に行われた建軍73年の閲兵式を仕切ったのが玄松月だろう」と語る。玄松月は陰で正恩の「1号宅」(筆頭側室)と言われ、金正恩との間で10代の息子がいるとも言われる。

 

航空自衛隊が取得を進めるJSMの模型。敵基地攻撃能力の一端を担う装備といえる

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