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2021.08.13

WING

第134回 日本が危ない! 真の歴史を積極的に展開せよ

突然の韓国大統領訪日見送り
ねらいだった南北首脳会談

 

 東京五輪開幕に合わせた韓国大統領文在寅の訪日は急遽見送りとなった。3年前の平昌冬季五輪開幕式に当時の首相、安倍晋三が出席した「返礼」として、文は東京訪問に強い意欲を示していた。外交上、首脳の訪問が直前で中止となるのは異例だ。しかも今回は五輪開幕式であり、日本側としては仏大統領らほかにも首脳の訪問が相次ぐ中、韓国を特別扱いできなかったにもかかわらず、過度にハードルを上げたのはすべて韓国の責任である。
 首脳会談をめぐる日韓の認識の違いを示したのがTBS報道だった。TBSは「独自」として、日本政府がフッ化水素など半導体材料3品目の輸出管理を強化する措置を発動したなかで、優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外した問題で、「ホワイト国」に戻すことで日韓両政府が「最終調整」していると伝えた。日本がホワイト国に戻す代わりに、韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の運用を安定化する方向で合意することで「日韓関係をマイナスから元の状態に戻し、首脳会談を成功させ、懸案の徴用工問題の解決の足掛かりにしたい」というのが訪日の目的とした。
 韓国政府は2年前、日本による輸出厳格化措置とホワイト国からの除外に反発し、GSOMIAを延長しない方針を決めた。ただ、破棄通告はしたものの終了宣言は留保してきた。GSOMIAは自動継続されていたが、不安定な状況が続いてきた。韓国政府は「いつでも効力を終了できる」としているが、現実問題としては簡単に破棄する状況ではない。
 米国が破棄の場合、日韓関係がさらに悪化することになり、米国のインド・太平洋戦略に悪影響を及ぼすとの懸念を韓国側に伝えているためだ。しかも、北朝鮮との間では文が目指す対話が実現する見通しがたっていないなか、日韓関係が悪化するのは北朝鮮を利するだけである。文は東京五輪にあわせ、南北首脳会談を実現したいとの期待を持っていたが、北朝鮮は参加を見送った。文はなお南北首脳会談を模索している。

 

ほど遠い日本の規制緩和
韓国に求める輸出管理強化

 

 2021年版防衛白書によると、北朝鮮は極めて速いスピードで弾道ミサイル開発を継続的に進めており、わが国を射程に収めるノドンやスカッドERといった弾道ミサイルに核兵器を搭載してわが国を攻撃する能力をすでに保有している、とみられる。さらに、2020年10月、21年1月の軍事パレードでは、新型の大陸間弾道弾(ICBM)級弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の可能性があるものが登場した。新型ICBM級弾道ミサイルの可能性があるものについて、弾頭重量の増加による威力の増大や一般に迎撃がより困難とされる多弾頭化などの可能性が指摘されている、と白書は北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の加速に強い警戒感を表明した。

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