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2021.03.04

WING

川崎重工業、新物流システムでサービス運用視野

ハード開発限定せず、1〜2年で初期ターゲット絞り込み

 川崎重工業は複合回転翼機(コンパウンドヘリコプター)「K-RACER」の研究開発を進めている。この「K-RACER」は川崎重工業が描く近未来社会における新物流システムを担う重要なツールの一つだ。同社が提案する新物流システムは航空宇宙システムカンパニーの「K-RACER」のほか、モーターサイクル&エンジンカンパニーの四輪バギー「MULE」(ミュール)、そして精密機械・ロボットカンパニーの自走ロボットを掛け合わせた近未来の物流システムだ。川崎重工業は今年1月1日付で社長直轄プロジェクト本部を発足させ、同本部の下に近未来モビリティ総括部を設置するなどして、「K-RACER」を含めた新たな物流システムの研究開発を橋本康彦社長の直接指揮の下で加速している。
 本紙の取材に応じた社長直轄プロジェクト本部本部長兼近未来モビリティ総括部総括部長兼グローバルマーケティング&セールス部部長の石田正俊本部長(航空宇宙システムカンパニー営業本部長)は、「我々はこれまで基本的にハードを開発して顧客に提供することを目指してきたが、開発するハードのオペレーションまで我々が手掛け、新しいビジネスをスタートしようというのが大きな違いである」との考えを明らかにした。
 「ハードを開発すると共に、システムを開発して運用まで一貫して行うことができるようにすることを視野に入れている」とし、川崎重工業として新物流システムのハードウェア開発に留まらず、その運用・サービス提供するところまで含めたビジネスモデルを構築することを検討しているとした。
 従来、川崎重工業のような重工メーカーといえば、どちらかといえば様々なハードウェアの開発に特化するモデルが主体だったが、川崎重工業はPCR検査でもサービス提供に踏み込むことを目指しており、この新物流システムでもサービス提供に踏み込むことを目指すなど、そのビジネスモデルを変化させつつあるようだ。
 また石田本部長は「物流事業者、流通業者、電力会社、自治体など・・・・・。
 社長直轄化で“スピード”開発

マーケット・イン思想で利用開拓

※写真=川崎重工業が提供することを目指す新物流システム。その鍵となるツールの1つが航空宇宙システムカンパニーが開発しているコンパウンドヘリコプター「K-RACER」だ(提供:川崎重工業)