記事検索はこちらで→
2018.07.30

WING

陸型イージス、調査開札延期は地元の強い要請

小野寺防相、水質項目加えてより詳細な調査へ

 小野寺五典防衛大臣は7月27日の閣議後会見で、イージス・アショアの導入に向けた秋田・山口両県での測量調査および地質調査について、24日時点で開札を延期しない意向だったにもかかわらず、翌25日に開札日延期を発表したのは、地元からの要請によるものだとして、「開札日の延期や地元へのさらなる丁寧な説明の実施について必要だと考えた」と説明。今後さらに具体的・客観的に答えられるよう、より詳細な調査を行うとして「水質分析の項目を追加するなど、地質・測量調査の内容の一部を変更し、契約に向けた作業の延期を行った」とした。
 小野寺大臣によると、開札日を延期する理由となった地元からの要請については、萩市長から23日に大臣宛の要請書を受け取っていたことと、秋田県知事および秋田市長からも事務方へ同様の要望があったということ。さらに25日には、大野政務官が阿武町長からの訪問を受け、その際に山口県とともに要望が提出されたといった報告を受けた。それらの要望を受けて、小野寺大臣は「配備候補地の地元の理解と協力を得ることが何よりも大事だと考えており、地元に対しては丁寧な対応をしていくことが必要」だとして、開札日延期を事務方に指示したという。防衛省としては、測量・地質調査の新たな開札日とした9月12日について、それまでに引き続き丁寧な説明を行っていくとした。
 秋田県の佐竹知事は、イージス・アショア配備の全体構想を示すことが調査入りの前提条件だとする意向を示しているが、小野寺大臣は今後地元から挙げられる要望や疑問に「丁寧に答えていく」と述べるに留まった。
 また調達費用について、当初は1基約1000億円と説明していたところ、一部の報道などから2基で6000億円とされるなど、経費の膨張が注目される。防衛省では、費用について明言を避けているものの、最新のレーダーや装備などを導入するなどによって、経費が当初計画を上回ることが確実視される。小野寺大臣は、まだ「具体的にどのような形で整備するかということについては、レーダーを含めて現在、調査中、検討中」だと説明。さらにイージス・アショアには、弾道ミサイルの迎撃のみならず、巡航ミサイルの迎撃能力を付加することも可能だと述べるも、一方でこのたびの導入については、弾道ミサイル防衛能力の抜本的な能力向上を図るためだとし、これまで導入可能性も滲ませてきた巡航ミサイルの迎撃能力付加については「決定していない」と話し、必要な能力など検討していくとした。