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2018.07.18

WING

三菱航空機、70-100席機は20年で5077機の需要

戦略上重要な北米市場は2009機の需要見込む

 

 【英国ファンボロー:伊藤学】三菱航空機は7月17日(英国ファンボロー現地時間)、開発中のMRJについて三菱航空機首脳陣が会見を開いた。このなかで福原勇吾セールス担当副社長が最新の需要予測について発表。70-100席級の機体需要は「今後20年間で5077機ある」との予測を明らかにした。なかでも北米市場の需要が2009機と、全体需要の実に40%を占めると予想。次いで欧州市場が741機(15%)、アジア太平洋地域704機(14%)などと続くとみられ、MRJにとって主戦場である北米市場で如何に需要を摘み取っていくことができるのか、あらためて戦略上最も重要なカギを握ることになる。ちなみに、現在運航中のリージョナルジェット機は「3300機ある」としており、旺盛な航空需要に伴って、リージョナルジェットのマーケットも拡大していく予想だ。

 

取り巻く市場環境は厳しさ増す
エンブラエルが追随許さず

 

 ただ、MRJを取り巻く全体的な戦況は厳しい。マーケットリーダーであるエンブラエルはボーイングと合弁会社を設立する方向で話がまとまるなど、この上ない後ろ盾を確保。今回のエアショーでも、E2を含む総受注数が300機に達するなど、力の違いを見せつけられているかたちだ。
 戦略上、もっとも大切な市場である北米市場は、福原執行役員が「ユニークな特徴がある」と話すように、スコープクローズという特殊な事情を抱えている。MRJ90、エンブラエルのE190-E2にとって、このスコープクローズこそが最大の壁だ。スコープ・クローズは航空会社と所属するパイロット間の労働協定のことで、MRJなどのリージョナル機が就航する路線に投入する機材について、その主な制限事項として座席数、最大離陸重量が設けられている。座席数については、航空会社側で上位クラス席を設定するなどしてスコープクローズに抵触しないかたちで調整することができるものの、如何ともしがたいのが最大離陸重量。こればかりは設計からの問題となるため、このままではクリアすることができない。

 

※写真=ファンボロー航空ショーで会見に臨む三菱航空機首脳陣