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2020.09.02

WING

IATA、国境再開放と航空輸送網再確立を強く呼びかけ

救済措置継続も、夏の需要崩壊で募る危機感

 国際航空運送協会(IATA)のアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEOは9月1日(ジュネーブ現地時間)、各国政府に対し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で閉ざされてしまった各国の国境を解放し、航空ネットワークを再確立する方法を模索することを呼びかけると共に、航空会社に救済措置を継続するよう訴えた。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界各地の航空会社が倒産の危機に瀕している。厳しい出入国規制によって閉ざされてしまった国境は、航空会社各社の路線ネットワークを崩壊させた。今夏の旅客需要も消失しており、IATAがまとめた今年7月の旅客需要を示すRPKは対前年比79.8%減となり、とりわけ国際線のRPKは91.9%減にまで落ち込んだ。
 前年同期と比較すると潜在的な旅客需要の5人のうち4人が自宅に滞在しており、5月~6月の期間と比較してもほとんど改善がみられず、この夏の需要は期待はずれだったとした。
 国境の閉鎖、渡航制限、検疫などの各国政府の施策に航空業界はフラストレーションを募らせており、ジュニアックCEOは「自国民を守ることは政府の最優先事項でなければならないが、あまりにも多くの政府が国境を閉鎖することを唯一の解決策であるとし、世界的なパンデミックと各国が孤軍奮闘している状態だ」とコメント。「今こそ各国政府が互いに協力して、ウイルスの拡散を抑制しつつ、経済的・社会的な生活を再開できるような対策を実施すべき時だ」として、航空ネットワークを再確立する方法を各国政府が協力して模索することを強く訴えた。
 具体的には、各国政府に対して航空業界が直面している危機の深刻さとその国民への影響を把握することを求めており、国境の再開放、継続的な救済措置、そしてグローバルリーダーシップを求めた。

 

政府対応は多くのケースで誤った方向に
ICAOガイダンス遵守など行動計画提案

 

財務的救済と規制上の救済を
U/Lルールの停止など要望

 

※写真=閉ざされた国境の再開放を。夏の旅客需要崩壊で業界全体の危機感がさらに募る。IATAは国境再開放に向けた各国が協力して対策すべきことを強調した。政府支援の継続も要望