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2020.07.02

ウイングトラベル

★JATA坂巻会長、安全・安心の新たな旅行提供

 国内から海外・訪日へ確実に段階的に取り組む

 日本旅行業協会(JATA)は7月1日、先の通常総会の役員改選で新会長に就任した坂巻伸昭東武トップツアーズ社長、副会長に新任の高橋広行JTB会長、留任の菊間潤吾ワールド航空サービス会長、堀坂明弘日本旅行社長、広報委員長の米田昭正KNT-CTホールディングス社長が揃って出席し、初めて記者会見した。
 坂巻新会長は「旅行需要の復活は国内旅行から取り組み、海外、訪日の国際交流へと積み上げていく」とし、そのために安全・安心のスタイルを旅行者に提供していくことを強調した。
 坂巻会長は「我々がやらなければならないことは、ここまで旅行需要が落ちた中で、急ぐというよりも、しっかりと確実に安全・安心を担保した上で、旅行に行ってもらい、それが次の旅行につながるように持っていく。いち早くリカバーして、次に進みたいが、あまりにも焦り過ぎることは避けたい。しっかりと、安全に旅行できる体制を構築し、国内旅行から海外旅行、訪日旅行へとステップを踏みながら業界一丸となって取り組んでいきたい」と段階的に進んでいくことを強調した。

 

 GoTo Travel キャンペーンで地域経済を動かす
 旅行業は国・地域・関連業界と「協調と共創」

 さらに、「旅の力は地域の一次産業、二次産業、そして雇用にまで強く影響する。この裾野の広さを業界としても認識し、それに応えていけるように一丸となって取り組みたい」と述べた。
 GoTo Travel キャンペーンについては、「キャンペーンの成果を一過性のものにするのではなく、地域との連携を如何に高めるかが旅行業にとって大切なこと。一番疲弊しているのは地域経済であり、旅行に対してかつてないキャンペーン予算が計上されたのは、旅行業が地域活性化に果たす役割が大きいことが評価されたもの。旅行業を通して、地域に人を動かし、経済を動かすことを意識しながら実施することが大事」と述べ、GoTo Travel キャンペーンにより地域貢献を果たしていくことを明言した。

 

※写真=JATA坂巻伸昭会長

 

 高橋副会長、国内旅行消費額22兆円を取り戻す
 ウイズ・コロナで新商品、旅行の分散化推進

 国内旅行の取り組みについて、高橋広行副会長・国内旅行推進委員長は、「国内旅行は回復の兆しが見えてきた。2019年の旅行消費額31兆6000万円のうち国内旅行は22兆円。JATAとしてはツーリズム産業と連携して、22兆円の国内旅行を取り戻すことが第1ステップ」と指摘した。
 高橋副会長は「GoTo Travel キャンペーン」について、「1兆円規模を超す過去に類のないキャンペーンで、これを最大限に活用して、全国各地のツーリズム産業の活性化に貢献していく。個人旅行、団体旅行、修学旅行、業務出張など、あらゆる旅行形態、あらゆるお客様に対応して広く、あまねく、キャンペーン効果を全国津々浦々に浸透させたい」と述べた。

 

※写真=JATA高橋広行副会長・国内旅行推進委員長

 

 菊間副会長、海外旅行復活へPCR検査拡充を
 世界に先駆けてオンライントラベルマート開催

 海外旅行の取り組みについて、菊間潤吾副会長・海外旅行推進委員長は、海外旅行者数が2019年に1年前倒しで2008万人と2000万人を達成したことに触れ、それが新型コロナウイルスの感染拡大により、「3月から様相が全く変わった。前年比で3月は−85.9%、4月は−99.8%、5月は−99.6%、6月は予想値で−99.5%とまさに壊滅的な状況。この傾向は7、8、9月と続いていく」と予想した。
 菊間副会長は、EU諸国のウイズコロナでの経済復興、人々の往来の解除が世界で先進的に進められているとして、「7月1日からEU以外の特定の14カ国に絞って入国制限の緩和がスタートする。この14カ国の中には日本も含まれ、ドイツ、スペインは日本からの受入れを正式に表明している。1日も早いPCRの拡充が国際交流に向けて必要」と訴えた。
 JATAはオンラインセミナーに続いて、7月31日、8月6日〜7日、8月31日〜9月2日にわたり、オンライン・トラベル・マートを世界に先駆けて開催する。菊間副会長は「2020年度下半期がスタートする10月に海外旅行が再開するという想いの中で、仕入準備、各国の状況把握をオンラインながらフェース・トゥ・フェースで実施する」とその主旨を説明した。

 

※写真=JATA菊間潤吾副会長・海外旅行推進委員長

 

 堀坂副会長、訪日回復へ「安心・安全」重要
 旅行品質・安全衛生管理・地方誘客を強化

 訪日旅行の取り組みについて、堀坂明弘副会長・訪日旅行推進委員長は、「今年度は訪日外国人旅行者4000万人を目標にしていたが、コロナ禍でゼロに近い状態。消費額は2019年度は4.8兆円。アフター・コロナには単価を上げることが重要になる。日本は安心・安全・衛生がしっかりしていることを海外に示していきたい」と述べた。
 そうした中でも、訪日旅行では旅行先、旅行商品、交通機関、ホテルなどの選定で、「安心・安全」がより重要事項になると指摘。旅行業者には、品質の高いコンテンツの企画・開発、ツアーオペレーター品質認証制度による安全衛生管理、地方への誘客の3点が求められるとした。

 

※写真=JATA堀坂明弘副会長・訪日旅行推進委員長