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2018.05.30

WING

南紀白浜空港、20年後に旅客数30万人目指す

成田線開設など狙う、国際線機能持つ新PTB整備も

 

 南紀白浜空港の優先交渉権者に選定された経営共創基盤、みちのりホールディングス、そして白浜館の企業グループは5月29日、来年度から民営化する南紀白浜空港のマスタープランを公表した。それによると、現状では年間旅客数が13万人に留まっているところ、10年後の2028年には25万人、20年目の2038年には30万人規模の旅客数を目指す。
 この数値目標を達成するために、国内線で成田線の新規就航や羽田線機材の大型化などを目指した取り組みを進めるほか、東北をはじめとした国内地方都市や、韓国および近隣アジア、極東ロシアのチャーター便就航を狙う。さらに、”ビジネスジェットの聖地”として、ビジネスジェット誘致にも力を入れていく計画だ。ちなみに同企業グループによれば、国際線を受け入れるための新ターミナルを整備することも視野に入れているという。
 なお、南紀白浜空港の民営化に向けて、既に去る5月14日に優先交渉権者として選定され、5月28日には和歌山県と基本協定を締結した。今後は締結した基本協定に基づきSPCの設立及び実施契約の締結準備を進めていく。

 

 旅客数応じた着陸料変動
 減免措置拡充も

 

 エアライン誘致に向けた施策として、現在の料金水準をベースとしながらも、旅客数に応じた着陸料の一部変動費化することによって、エアラインとリスクを共有する。加えて、減免措置を拡充して、機材大型化や増便、新規就航の促進などに取り組む計画だ。

 

 関西の奥座敷から世界のkiiへ

 

 経営共創基盤を代表企業とする企業グループがまとめたマスタープランでは、「関西の奥座敷から、日本の白浜、世界のkiiへ」を掲げた。リゾート地の小さな空港だからこそ、街から5分の地域密着空港だからこそを極め、(1)国内外の旅客が到着した瞬間に上質な非日常感に心躍らせる空港、(2)地元の人びとや非航空観光客が自然と集い、一日中活気に満ち溢れた地域拠点、(3)職員全員がコンシェルジュとして旅客一人ひとりに寄り添う空港となることを目指す。
 その基本方針としては、優れた観光資源のPRと更なる磨き上げのほか、国内外の新たな交流人口の呼び込み、さらには多様な産業に新たな需要を創出することで、地域経済の活性化に貢献して、「地域活性化のモデル的存在」となることを目指す。
 また、空港がDMO機能を具備し、地域のDMOと連携しながら、地域への交流人口の呼び込み機能を強化していくほか、観光客に加えてビジネス需要の創出によるビジネス客呼び込みを目指す。ビジネス客の呼び込みに関しては、IoTの聖地化することを狙う計画だ。
 空港利用者の満足度を高めるために、コンシェルジュサービスを提供していくほか、各地へスムーズに移動することができる交通ハブとなるように、「パーク&バスライドの拠点」となることを目指す。
 また、国際線受入機能を有する新ターミナルビルを整備していく計画で、このターミナルは到着した瞬間に非日常感に心躍らせる空間を設計するほか、コンパクトな動線・配置によるスムーズな移動と効率的な空港運営をすることができるようにする。

※画像=南紀白浜空港の新ターミナルイメージ(提供:経営共創基盤、みちのりホールディングス、白浜館)