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2019.10.25

WING

令和元年度遠洋練習航海艦隊が横須賀に帰港

188名の実習幹部が新たな部隊任務へ旅立つ

 海上幕僚監部は10月24日、「令和元年(2019年)度遠洋練習航海」の帰国行事を横須賀・逸見岸壁で行なった。63回目となる今回は海上自衛隊第69期一般幹部候補生課程の修了者約190名が、5月21日から10月24日までの157日間にわたり、環太平洋各国を訪問。約188名の海上自衛隊を担う初級幹部となって帰国を果たし、その家族や友人等と約半年振りの再開を喜びあった。
 この遠洋練習航海は、海上自衛隊幹部候補生学校での課程修了者となった初級幹部に対し毎年行っており、学校等で取得した知識および技能を実地に習得し、慣海性や国際感覚を涵養し、幹部自衛官として必要な資質の育成を図るもので、今回は環太平洋11ヵ国13寄港地を回る航海となった。航海途中にはパラオ共和国コロールに初寄港して、「日パラオ外交関係樹立25周年記念式典」に参加する等、実習幹部たちは航海間また寄港地において数多くの経験を積むことができた。

 

山本副大臣「熱意と期待に沿うよう職務精励を期待」

 

 帰国行事では、遠洋練習艦隊指揮官の梶元大介海将補が山本ともひろ防衛副大臣に対し、「実習幹部188名を含む総員577名、環太平洋方面令和元年度遠洋練習航海艦隊を終え、ただ今帰国しました」と報告。山本副大臣からは訓示として、「約半年にわたる太平洋を一周する部隊で鍛錬を積んでこられた事と思う。梶本司令官からすれば、まだ一人前ではない諸君等の操艦で太平洋は若干不安もあったとは思うが、その任務を見事に成し遂げ、帰国された事を大変うれしく思う」と述べた。また、自身が防衛副大臣を拝命後に、アデン湾で海自護衛艦にエスコートされたという船員からの手紙を紹介して、「諸君等が職務に精励することで、全く会う事もない知りもしない人たちが、皆の職域で勇気をもらったり、感謝の気持ちを抱いてくれることがある」と語り、自衛官として熱意と期待に沿うように職務に精励される事を期待するとした。
 山村浩海上幕僚長は、練習航海を無事完遂した事を労った上で、日本人移住120周年となるペルー等を訪問したこと等に触れて、「諸君の冷静とした行為が、訪問国との友好親善に大きく貢献したものと確信する」と述べた。また、「帰国に際しての要望事項としていた強い精神とリーダーシップ、同期の絆を育む事が、航海を終え帰国した実習幹部たちの姿を見て確信した」と語った。そして、「本日からそれぞれ部隊任務へと旅立つ事となる。海上自衛隊の全ての活動の基本が海の上である事を念頭に置き、遠洋航海で学んだ事を活かし、はつらつと正し、勤務してもらいたい」として、実習幹部たちに訓示。さらに練習艦隊の乗員を労うとともに、関係者、実習幹部の家族に対し御礼を述べた。その他、外務省代表が中山展宏外務大臣政務官の式辞を代読している。

 

〈「令和元年度遠洋練習航海」概要〉
▼遠洋練習艦隊指揮官:海将補 梶元大介
▼派遣艦艇:練習艦「かしま」、護衛艦「いなづま」
▼派遣人員:第69期一般幹部候補生課程修了者約188名(うち女性23名、タイ王国海軍少尉1名を含む)、乗組員約577名
▼期間:5/21~10/24日(157日間)
▼訪問国=
・米国(パールハーバー、サンディエゴ、グアム)、グアテマラ(プエルトケツァル)、ペルー(カヤオ)、エクアドル(グアヤキル)、メキシコ(マサトラン)、仏領ポリネシア(パペーテ)、フィジー(スバ)、ニュージーランド(オークランド)、オーストラリア(シドニー)、パプアニューギニア(ラバウル)、パラオ(コロール)※初寄港

 

※写真=航海を終えて整列する実習幹部たち。立派な海上自衛隊幹部自衛官の顔となっている

※写真=山本副大臣は拝命後に、アデン湾で海自護衛艦にエスコートされたという船員からの手紙を紹介して、実習幹部たちの職務精励を期待した

※写真=「UW」旗を下げて、海上自衛隊幹部自衛官としての「御安航を祈る」

※写真=様々な思いを胸に「かしま」を後にする実習幹部たち

※写真=同期とともに最後の行進。それぞれ新たな部隊任務へ旅立つこととなる