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2019.08.26

WING

今年の「富士総合火力演習」はシナリオ重視に

島嶼部侵攻対処を軸に、電子戦装備や各種装備品を実演

 陸上自衛隊は8月下旬の複数日に渡り、「令和元年度陸上自衛隊富士総合火力演習(総火演)」を静岡県東富士演習場で実施した。令和初の総火演となった今回は、富士教導団を基幹に高射教導隊や航空学校、陸上総隊や各方面隊の隷下部隊が参加したほか、航空自衛隊もF-2戦闘機を飛行させる等したため人員約2400名、戦車等の車両約80両、各種火砲約60門、航空機約20機が参加した。また、一般公開日となる8月25日の観覧申し込みは応募総数約14万通、応募倍率約27倍で、一般観覧者は約2万3500名となったとのこと。
 使用した弾薬は、昼間展示だけで約35トン、金額にして約5.5億円分を消費した。ちなみに、昨年は同じく昼間だけで約36トン、金額では約3.9億円を消費している。陸上幕僚監部は、昨年に比して金額が増えた理由を、「誘導弾を増加し、より実戦に即した展示内容にしたため」と述べている。

 

各種装備品の射撃で沸き立つ観覧者たち
前段演習でも注力分野に基づいた展示要領実施

 

 今回WINGでは、一般公開日の前日、24日に行われた教育演習を取材した。教育演習とは、陸上自衛隊の各種学生に対し陸上戦闘のあり方等を展示するもので、会場には陸上自衛隊富士学校の学生や防衛大学校学生、陸上自衛隊高等学校生徒が多く、また日本駐在の各国武官も多数観覧していた。
 総火演は、前・後段の2部構成で行われ、前段では陸上自衛隊の主要装備等を紹介し、後段ではシナリオには基づき、陸海空各自衛隊の戦力を統合した作戦の模様を展示するという流れになっている。今年のシナリオは、日本の島嶼部に侵攻する敵部隊を洋上・沿岸部において撃破するというもので、陸自各職種部隊および海空自衛隊が協同あして行う陸上戦闘の様相を展示した。

 

※写真=陸上自衛隊は「令和元年度富士総合火力演習」を実施。島嶼部に侵攻する敵部隊への対処要領を展示した

※写真=特科部隊の装備する火砲による射撃展示

※写真=重迫撃砲部隊をCH-47で空輸する

※写真=地表スレスレでホバリングして偵察する観測ヘリコプターOH-6。既に減勢が始まっており、引退も近い

※写真=後段演習中のUH-60

※写真=対戦車ヘリコプターAH-1SによるTOWミサイルの射撃

※写真=ファストロープによるリペリング。命綱なし、1本のロープのみで降下する

※写真=走行しながら煙幕を展開するAAV7

※写真=偵察部隊の前進。RCVや偵察用オートバイ等を駆使して敵位置等の情報を収集する

※写真=敵陣地に接触し、MCVは発射発煙弾を展開して退避する

※写真=90式戦車による横行射撃