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2019.08.02

WING

三菱重工、ボーイングNMAへの参画狙う

複複合材技術活かしてボーイング新型機に貢献

 三菱重工民間機セグメント民間機事業部長の平野祐二執行役員(兼787SBU長)が本紙の取材に応じて、ボーイングがローンチすることを検討中のNMA(New Midsize Aircraft)について、「当然、プログラムへの参画を狙いたい。なんとしても仕事を取りたい」と話し、NMAにおけるワークシェア獲得に意欲を示した。
 ボーイングは今年のパリエアショーにおいてNMAをローンチすることも検討したが、まずは737MAXの事故対応および安全な飛行再開に注力すべく見送りに。依然として市場調査中としているが、今後のNMAのローンチは濃厚とみられ、三菱重工としても蜜月関係にあるボーイングの次期機体開発プログラムにおいて主要な構造部位のサプライヤー・パートナーとして確たる存在感を発揮していきたい考えだ。
 三菱重工は787ドリームライナーでは複合材技術を活かして主翼を、開発作業が進む777Xでは後部胴体、尾胴、乗降扉の生産を担当するなど、一次構造の主要な部位を担い、ボーイングから抜群の信頼を得ている。そうしたことから平野事業部長も「我々の技術力を活かすことができる分野で、NMAにも貢献することができれば」と、NMAのワークシェア獲得に期待を寄せた。
 787型機で複合材主翼を担当することができたものの、777Xプログラムでは、主翼はアウトソースされることなくボーイングで内製化。「世界の主翼工場」として777Xでも主翼の獲得を狙った三菱重工だったが、結果として777Xは777型機と同様、胴体パネルなどを担当することになった。
 現在787SBU長を務めるなど、長らく787プログラムに従事してきた平野事業部長はNMAで担当を希望する構造部位について、777Xの主翼はボーイングで内製化したことに言及しつつ、「仮に主翼の最終組立を担当することができないとしても、部品レベルの製造などでも貢献することができないかと思っている」と話し、様々な形でワークシェア獲得に向けた提案を行う考えを明かした。
 一方で胴体の場合については、「我々は複合材胴体を生産した経験はないものの、これまでの金属素材を使った胴体パネルの生産で培った技術や自動化ラインなどを通じて、その生産に貢献することができる」としており、胴体部位でもボーイングのパートナーとして大きく貢献することができるとの見方を示した。 
 また、「(複合材の)787型機では名古屋、下関などで展開してきた。NMAの素材が複合材であるならば、そういった力がなければならないだろう」と、787型機の生産で複合材技術を磨き上げてきた既存の拠点を活用することにも言及した。

 

一本のラインで連続生産する777Xライン
「他機種に比べてスムーズな立ち上がり」に

 

787で勝ち得たボーイングからの100%の信頼
出荷前検査は三菱のみで「Ready to Fuel」な状態に

 

月産14機を達成した787ラインが抱える課題

 

進化する787ライン、更なる自動化も検討

 

Tier1事業から新たな事業領域の検討
構造組立から「内装品」と「運航支援」へ踏み出す

 

CRJ買収のシナジーへの期待は?

 

アジアサプライチェーン、特殊工程含め拠点づくり
地産地消でベトナム版クラスターづくり視野

 

※写真=三菱重工民間機セグメント民間機事業部長の平野祐二執行役員

※写真=三菱重工は広島製作所で777Xの胴体を製造する。自動化、IoTなどを採り入れた最新鋭のラインだ(提供:ボーイング)

※写真=787ドリームライナーの主翼製造で三菱重工はボーイングから抜群の信頼を獲得している。主翼の出荷前検査はもはや三菱重工のみが行う。787や777Xなど数々のプログラムにおける実績、そして新たな生産技術などを武器にNMAでもワークシェア獲得を狙う