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2019.06.28

WING

三菱重工、株主総会でスペースジェットなど説明

徴用工問題で厳重警戒、周辺ではデモも

 三菱重工は6月27日、都内で第94回定時株主総会を開催した。韓国の徴用工訴訟問題を抱えるなか、会場周辺でデモ活動が繰り広げられる一幕も。周辺には厳重な警備体制が敷かれ、物々しい雰囲気に包まれたなかでの株主総会となった。一方、パリエアショーにおけるスペースジェット構想の発表と、それに続くボンバルディアから「CRJ」事業を買収することで合意するなど話題も豊富。総会では株主からスペースジェットの開発遅延や市場見通し、さらにはCRJ事業取得に関する質問が飛び、三菱重工が展開する完成機事業に対する株主の関心の高さが垣間見えた。スペースジェットについては、開発遅延に踏み込む質問こそみられたものの、その構想やブランド再編、CRJ事業取得に対する批判的な意見出ず、三菱重工が展開した施策は、株主から前向きに受け入れられた様相だ。
 なお、今回の株主総会の所要時間は2 時間1分(前回:1時間58分)。入場株主数は777人で、前回の878名から100名以上減少。質問が相次いだ徴用工問題については、「請求権問題は国家間の問題で解決済み」とあらためて主張。韓国における資産差し押さえなどについて、「極めて遺憾」とのスタンスを示し、「政府と連絡を取りつつ適切に対応する」などと回答した。

 

CRJ買収でスペースジェットサービス拠点拡大へ
北米で評価獲得がスペースジェット根幹にも

 

 三菱重工がボンバルディアのCRJ事業の買収に踏み切ったのは、スペースジェットのカスタマーサポート体制などを手に入れたがったことが最大の理由だ。ボンバルディアが北米(米国・カナダ)に築いたサービス拠点や人材、様々なメリットを享受することができ、将来の成長に繋がると踏んでいるため。三菱重工は総会でもあらためてCRJ事業買収に関する意義を説明。さらに、「世界展開することを考えているため、(北米のみならず拠点を)欧州、アジアといったところにも(サービス拠点を)順次整備していきたい」と話した。

 

※写真=三菱重工は都内で定時株主総会を開催。スペースジェット構想は株主に前向きに捉えられた様相だ