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2019.06.13

ウイングトラベル

1-5月日本人客13%増「マカオ生まれ変わる」

港珠澳大橋追い風、宿泊と滞在消費額増やす

 マカオ政府観光局は6月12日、東京・汐留のコンラッド東京で、マカオ・アップデート・セミナーを開催し、多くの旅行業界関係者が出席した。榊原史博日本代表は、マカオへの日本人旅行者が出国者全体を上回る伸びで推移し、「2019年はマカオが生まれ変わる記念の年になる」と述べ、港珠澳大橋の供用を追い風に、旅行会社とともにマカオへの送客を拡大し、宿泊日数、滞在消費額の増やす方針を示した。
 2018年の出国日本人数は前年比6.0%増の1895万人だったが、マカオへは1.0%減の32万6000人と微減した。昨年の海外旅行市場は長距離方面は欧州を中心に伸びたものの、中短距離方面は災害の影響もあり、伸びが鈍化した。マカオもその影響を受けたとみられる。
 しかし、2019年は1−4月の出国日本人数が10.1%増に対して、香港は11.5%増、マカオはそれを上回る12.5%増を記録した。1月から順調に伸び、ゴールデンウィーク10連休が始まった4月は24.8%増と驚異的に伸び、5月も13.0%増と二桁の伸びを維持している。この結果、1-5月計は12.5%増の15万人を記録した。
 この数字は、マカオへの日本人旅行者が最も多かった2009年から2012年の4年間に次ぐ数字で、年間40万人を超えた2010年に向かって成長曲線を描き出している。
 その最大の要因は、港珠澳大橋の開通で、昨年10月24日に同橋が開通、10月は5日間で、日本人旅行者は472人が橋を利用した。マカオ政観では、橋の開通直後はまだ旅行者に勧める状態ではなく、昨年は橋のプロモーションを実施しなかったが、11月は日本人旅行者の9.6%に当たる3309人が橋を利用、12月は14.6%の4804人と増加した。
 こうしたFITを中心に旅行者の橋の利用が拡大していることを受けて、マカオ政観では、港珠澳大橋の正確な情報を伝えて、橋を利用した快適な旅を促進する方向に切り替えた。
 年が明けて、1月には全体の15.7%に当たる4803人、2月は16.9%の3607人、4月は20.2%の5487人、5月は22.4%の7553人と増え続け、橋の利用シェアは日本人旅行者全体の2割を超えている。
 ただ、港珠澳大橋をパッケージツアー、団体旅行などで利用する場合は課題が残されている。とくに、香港国際空港から橋の香港ターミナルまでは公共のバス利用が前提となり、各自が6香港ドルで搭乗しなければならない。次に、橋の香港、マカオ各ターミナルのイミグレーション手続き、バスの搭乗なども各自が行うなど、現段階ではパッケージツアーや団体旅行での橋の利用はこれからの状況にある。
 しかし、榊原代表は「日本の旅は成熟しており、今後さらに港珠澳大橋のシェアは増えていく。既に、橋の利用者増加に伴い、フェリー利用者は減少している」と見通しを語った。
 とくに、「香港空港からの所要時間は、マカオも香港市街もほぼ同じで、料金はマカオのほうが安くなった。橋の開通により、マカオの最大の課題だった香港からのフェリー利用というボトルネックが解消された」と強調した。
 榊原代表は「2019年にマカオが大きく生まれ変わる。中国に返還されて20年。20歳の大人になって生まれ変わる。ただ、人数だけではなく、マカオでの滞在消費額を増やすことが重要であり、58%の宿泊率を増やしていかなくてはならない」との見解を示した。。
 港珠澳大橋の開通により、マカオへのアクセスが飛躍的に高まった一方で、香港からマカオへの日帰りの利便性も向上する。
 このため、榊原代表は「数を追いかける運動から滞在時間を伸ばすプロモーション活動に2019年は替えていく」戦略を打ち出した。
 マカオへの日本人旅行者の性別・年齢別の特長をみると、年齢が上がるほど宿泊が増えている。全体の旅行者のうち男性6割、女性4割の構成で、男性は46〜60歳が多く、女性は40〜60歳以上、16〜35歳など若い人からシニア、シルバー層まで幅広い。
 マカオ政観では、宿泊率を上げるためには高年齢層をターゲットとし、人数を増やすためには女性層に焦点を当てるともに、若年層を開拓することを指摘した。
 榊原代表は「マカオは、いま売れ始めた。港珠澳大橋が完成し、7月1日からはマカオ航空の成田−マカオ線がダブルデイリーになる。中身を充実させながらプロモーションを展開したい」と述べた。

 

 パッケージ・団体の橋利用促進に取り組む
 広州南部ツアー造成、アートマカオ初展開
 女性・ファミリー・団体・リピーターに提案
 香港線充実の名古屋、西日本地域を重点強化
 マカオ客室4万室超える、5つ星が5割以上
 新交通LRTタイパ線、秋以降に開通予定

※写真=マカオ政府観光局の2019年度プロモーション方針を語る榊原日本代表

 

※グラフ=マカオへの日本人渡航者数の月別推移(マカオ政府観光局提供)

 

※グラフ=港珠澳大橋の日本人利用者数の月別推移(マカオ政府観光局提供)

 

※写真=マカオ新交通システムLRTタイパ路線(マカオ政府観光局提供)